昨日のワールドカップ予選を見ていて思ったことを一つ。ほろ酔い加減で見ていると、何やらラッパのメロディが聞こえてきたのだ。まるで野球の応援みたいな、そんな感じのラッパだ。サッカーの応援というと「みんなで合唱」というイメージだけに、ちょっと驚いた。ひょっとしたら、北の応援団のものかもしれない。まあ、どちらでもいいけれど、それを聞いた俺は、「もっとラッパのメロディを聞きたい」と思ったのだ。
これは自分でも驚くべき欲求だった。なぜなら俺は、ラッパ太鼓の鳴り物がつきものであるプロ野球の応援形式に、半ば嫌悪感を抱いているからである。半ば、というのは実に微妙なところで、「大リーグを見てごらんなさい。日本の応援は野球を全然観ていない、レベルの低いやり方だ」とは絶対に思わない一方で、応援団が客席で幅を利かせてやっている様子も面白く思わないからである。
そういえば、応援歌に感動したこともあった。あれはオリンピックの予選だったろうか、台湾で日本代表の試合があった。俺はラジオでそれを聞いていたのだけれど、本当にかすかにラッパの音が聞こえてきたのだ。かすかに聞こえる耳覚えのあるメロディ。「……緑の芝生を 走れ東出」。そう、我が広島東洋カープ東出輝裕が打席に立っていたのだ。異国の地で一本のラッパから奏でられる応援歌。これにはしびれた。東出もしびれたのか、その試合で致命的なエラーをしたような記憶もある(「緑の芝生を走れ」というのは、後逸した球を拾いに走れという意味だとする説もある)が、それはまあ昔の話。
そんなわけで、サッカーの応援については一切口出しはできないけれど、野球に関しては自分の中でも結論が出ていない。というか、以前巨人の監督だったころに長嶋茂雄が提唱し、実行された「球音を楽しむ日」形式はダメなんだろうか。全廃かどうかではなく、どちらの趣味の人のことも考えた折衷案。あれ以後やったためしはないと思うけれど、長嶋が指揮しなければ実行できないほど、応援団が球団に隠然たる力を持っているのだろうか。そこらあたりはよくわからないけれど、サッカーの試合を見ていて思いがけず鳴り物について考えてしまったという話である。
追記:スポーツナビのコラム(http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/column/200502/at00003921.html)を読んで思い出した。確か日刊スポーツの裏一面で「ジンギスカン採用」と音符と歌詞まで載っており、「へぇ、ジンギスカン」と思ったものだ。で、あんまり聞こえなかったような、ジンギスカン。まさか俺が聞いたラッパは……違うだろうな。多分。