さて、帰るか

 十二時を回ったけれど、サントリー提供の朗読劇は終わってしまったのだな、J-WAVE。などと書くといかにも慣れ親しんでいたようだけれど、J-WAVEなんて聞くハメになったのは、去年の一月末からであった。なぜか横浜に越してきて、84.7の方が聞けなくなるという不思議。そして、深夜にあのピアノのテーマ曲を聴くのも、本当に忙しいときだけだ。たとえば、昨日のように、今日のように、明日のように。
 新しい音楽を聴くのはいい。ベックのニューアルバムについて少し手厳しい感想を最初は抱いたのだけれど、「新しい音楽」はやはりいいものだ。同時代性などというと鼻白んでしまうけれど、音楽には何かそういうものがあるように思う。新しいアルバムの曲、「今」の曲だという実感。そりゃ時代に揉まれて生き残ってきたマスターピースが優れているのは確かだ。ただ、「今」という旬を捉える喜びというのもあると思う。不思議なことに、音楽についてしかこういう感覚は抱かない。小説などは、そっと閉じられてどこかで眠っている古本の方がいい。
 さあ今日は眠れるのか。目は乾いているのに、頭は冴え渡ってきたぞ。誰か知らない間にヒロポンでも打ってくれているのだろうか。あるいは、どこかから労働電波が流れてきて俺の脳を刺激する、コントロールする。ああ、俺は義体どころか電脳化すらしていないじゃないか。石丸電器で買えますか、それは?