オークスのおとめたち

後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。
マタイ20-16

 はっきり言っておくが、今の私の馬券が当たるのは、針の穴を馬が通り抜けるより難しい。しかし、過去において私は二つの年に渡ってオークスを的中させたことがある。それはすなわち、エリモエクセルウメノファイバーである。その穴を通り抜けた奇跡によってもたらされた富は、栄華を極めたソロモンより偉大であった。
 今、私は過去を思い返し週末の競走を予言する。後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。ダイワエルシエーロオークスを思い返す者は、キングヘイローのダービーを思い返せ。オークスは短距離血統馬でも追い込みが利くレースである。そして、府中のクラシックディスタンスに応える者が祝福を受けるであろう。
 いかにも府中向きの馬を軽視してはならない。すなわち、エリモファイナルジョウノビクトリアである。インに入った内田博幸は、先行させて我慢させることができる。プルザトリガーを思い出せ。追い込み馬で腹をくくった横山典弘が何をしてきたかを思い出せ。しかし、シーザリオを軽視するのも不幸である。サドラーズウェルズの肌にスペシャルウィークという血統。どこにケチをつけようか。さらにライラプスの府中適性を侮ってはならない。
 はっきり言っておくが、ここまで書いてまだ腹は決まっていない。素直にシーザリオ玉座の中央に乗せたい気持ちもあるが、右と左と入れ替わることもある。直線シーザリオが抜け出そうとする。そこへ「来たれ!」の呼び声とともに迫り来る刺客。競馬を愛する者は幸いである。一つのレースの前に何万のレースを楽しむ。その富と現世の富が両立すればなおのことである。

 追記するが、ジョウノビクトリアはそんなにクラシック向きなのか。馬体と父親においては文句がないが、兄弟の名前を見ると不安になってきた。フリーウエイハート、キングオブサンデーウインデュエル。そしてノーザンテーストの肌にサンデーサイレンスアドマイヤマックスデュランダルダイワメジャーの雰囲気。一方のエリモファイナルの母も京都金杯ダイタクリーヴァの二着して、アグネスデジタルに先着したこともある馬である。こちらも父オペラハウスには文句が無いが。
 ああ、いっそのことイエスの話ばかりしているのだから、メサイアエアメサイアか? かといってこれもノーザンテーストサンデーサイレンス。むろん、そこまで血統を信じる者ではない。ただ、この中途半端な府中志向ならば、距離足らなそうな追い込み馬も探したくなる。やはりライラプス、そしてディアデラノビア? とにかく、いよいよシーザリオを不動の本命から動かせないような気もしてきた。まあ、まだ金曜日だ。