スズメが迷い込んだ

goldhead2005-05-26

 我が職場の片隅のドアを開くと半畳ばかりのエアコン室外機兼雨どいの、ベランダとも言えぬ暗く汚いスペースがある。今朝空気入れ替えのために、建て増しのためか人一人分すら開かぬドアを開けた人がそこに小雀が一羽ちょこんといるのを見つけ、半日経って別の人に伝えてドアを開けるとまだそこにじっとしている。よもや飛べぬ怪我をしたのが迷い落ちたのか、水をやるか餌をやるかと話しておると、こともあろうにバタバタとジャンプして部屋の中に飛び込んできてしまった。その後しばらく来客中にもかかわらずさながらドタバタ喜劇のように大の大人がスズメの子を追い回し、スズメの子はネズミの子かと思わせるように机の下や棚のすき間に入ったり。ようやくして捕まえて、とりあえずザルを二つ合わせたもののなかに入って頂き、小皿に水などいれて様子を見る。見ていてばかりいては仕方ないと、今後どうするか話し合うも、飛べぬようでは公園に離したところで猫にやられるだけだろうが、かといってベランダ近くに巣は見えぬのだから、このまましばらく保護しようかなどの話し合い。埒が開かぬとインターネットで検索すれば、次のようなサイトが見つかった。
http://www.asterisk-web.com/sparrow_club/resq/3.htm

■ 巣立ヒナ
・歩き回れる、ちょんちょん跳ねる、走る、羽ばたく仕種(しぐさ)をしたり、飛ぶことができるヒナもいる
・近くには巣がなく、近くに親鳥がいない場合が多い

 ああ、他の情報を全て勘案すれば、この小さなスズメは巣立ヒナに違いあるまいて、まさしく我らが気に掛けたのは余計なお世話に他ならなかった。小鳥の成長などに詳しくないのだから巣立てば一人前で飛び回るのかと思いきや、親鳥が近くにいないが保護に置いている期間があるとは知らなんだ。さてどうしようと上記サイトの「巣立ヒナだったら?」を読み進めれば、親鳥はあちこちに散らばるヒナを探し回って育てるらしく、とにかく親に返すのが一番とある。幸い我がビルの腐り果てたベランダほど安全な場所はなく、猫は登って来られず、横浜の中区に蛇などおらず、カラスなどが入ってこれない大雑把な網がかかっているという丁寧さ。よもやお節介な人間が誘拐するとも思わずわざわざ親鳥が選んだ場所やもしれぬ。また部屋の中を飛び回られては大変と、パッとザルごと外に出し、蓋だけとってドアを閉め、しばらく放っておくことに。しばらくするとヒナはチュンチュン声を上げて仲間を呼ぶよう。すると他の鳥の声がしたり、しなかったり、とにかく見つけてはくれているだろうと、そればかり気になって仕事にもならぬ。気が早く近くのペットショップに餌を買いに行ってしまった人もあって、また親鳥に見つけられず弱っているようなら餌の手助けくらいできぬこともないが、下手に人が手を出すのは野鳥に御法度ゆえ、ここからしばらく煩悶のときが続くのである。