K-1を見て思ったこと

 フランス語は時に悲しい言葉だ。ジェロム・レ・バンナシリル・アビディのコメント合戦。字幕を見れば「ぶっつぶしてやる」「口が利けないようにしてやる」などなど。しかし、目を閉じて耳を傾ければ、愛のささやきか、哲学の小径か、はたまたワコールのCMかといった塩梅。「演説が様にならないので、フランスにヒトラーは生まれない」と、ネイティヴ・フレンチの人が言っていたのを思い出す(ロベスピエールは演説で一席ぶたなかったのか?)。
 試合の方は、あっと言う間にジェロムレの勝ちで片が付くかと思ったら、アビディが粘った。アビディはこのごろどうも力の衰えた逃げ馬という印象で、逃げて逃げて脅威の粘り腰で勝利というスタイルから、逃げてすぐに潰れるようになっているような気がしていた。しかし、昨夜見たアビディは、かつての打たれ強さと逆転の一発要素をかいま見せた。どうせなら、奇跡の逆転と行ってほしかったが。しかし、バンナもバンナで、もう少し早くどうにかならないのかと思ったもの。