競馬中継を見て思ったこと

 三宅正治がフランスに行っていたから、日本ダービーの実況は塩原恒夫ということになったのだろうか。競馬実況アナについては耳目社の及川サトルが好きで、フジテレビの青嶋が嫌い、というくらいのこだわりしかないけれど、前夜のうまっチ!に出てきて「十八年目で初のダービー実況」などと言っていたので、ちょっと注目してしまった。そして、一つ重大なミスがあったと思った。
 それは、競馬の実況の基本中の基本であり、特にG1のような競走では忘れてはいけないことだと思う。いろいろなアナウンサーのコラムやインタビューなどでも触れられていることと思う。それは、「出走全馬の名前の読み上げ」だ。俺の勘違いでなければ、マイネルレコルトの名前が呼ばれなかったように思う。意外な最後方待機だったが、カメラがディープインパクトを追いに戻った瞬間に切れてしまった。大局的には大したことじゃないかもしれないけれど、俺はちょっと気になってしまった。そういえば、ダービーに限らず「全馬言ってるかな」と実況を聞く癖はあるように思う。なんでだろ。あと、もしも俺の勘違いで、レコルトの名前を呼んでいたらごめんなさい。
 そうだ、昨夜もう一つダービーの実況を見た。うるぐすにおける杉本清だ。上の「全馬読み上げ」について書いていたのも杉本かもしれない。そして、やはりベテランは違うなぁと思わせた。もちろん、ディープ決め打ちなのは一緒だけれど、先頭から見ていっての全頭読み上げはキッチリと早めに終わらせ(フジの場合はディープが仕掛け気味に上がっていったところだった)、人気薄のペールギュントコンゴウリキシオーの意外な位置取りに言及する余裕。また、ディープの位置取りを言う際も、必ず前後左右の馬に言及。「空(くう)を飛んだ」はいいとしても、ゴール後にちゃんと二着、三着の馬名も忘れない。うーん、老いても尚盛んなり、杉本。‘杉本節’は素晴らしいと同時に、やや鼻につく感じがしないでもなかったが、ここらあたりきちんとしているのは、やはり年季だろうか。しかし、競馬実況アナウンサーというのは長く険しい道なのだなぁ。