炊飯を失敗して思ったこと

 米を炊くのに失敗した。この二十一世紀に。米が少し多くて、水が少し少ないとは思ったが、許容範囲と思ったのだ。甘かった。芯の残ったごはんが1.5合。おかずはできあがって、俺は空腹だった。俺はそれら出来損ないの米を容器に入れ、冷凍庫にぶち込んだ。見なかったことにして、非常用のカップ麺を作った。しかし、米を捨てるわけにはいかない。罰が当たるから。
 加工しなければ食えない。チャーハンでは解決しない。雑炊、おかゆ、おじや。俺もまだまだ若いので、胸弾まないメニュー。しかし、スーパーの99円コーナーで思いついた。パスタ用ソースで煮込め、と。和風きのこのレトルトを買って、鍋で加熱した。冷凍していた米をレンジで加熱して、鍋へ。見た目は、何かそういう料理のようだ。味見―最悪。稲作文化の終わりかと思った。味が濃すぎるというわけではないけれど、少し強いように感じる。味に深みがない。パスタにはパスタの味があり、米には米の味がある。溶き卵を急遽追加してみたが、焼け石に水であった。水を吸って肥大化した米は、どんぶり一杯になった。苦行と思って食べきった。残すと罰が当たるから。
 しかし、レンジで加熱した段階で一口食べたら、あまり芯の存在が感じられなかったように思う。しかし、それはなかったことにしよう。あの苦行が無駄になるから。