ディープインパクトの年内引退

http://www.nikkansports.com/race/f-rc-tp0-20061011-102321.html

 5冠馬ディープインパクト(牡4、栗東池江泰郎)が年内で引退することになった。11日、金子真人オーナーが池江泰郎調教師を通じて日本中央競馬会(JRA)に引退させる意向を表明した。午後3時に東京競馬場で池江師が記者会見する予定。

 秋華賞の予習にと週刊Gallop買ったところ、一週遅れのディープ一色で少し面食らったが、火曜発売の週刊誌にとって日曜深夜のレースは厳しいものがって、それも致し方ないところ。各コラムもこぞってディープのことばかり取り上げており、それぞれにいろいろな見方もあり、当日のロンシャンにおける日本人の振る舞いを非難したり、悪いのは一部だったりとしたり、レールリンクレイルリンク)の配合は自分が進言したとか、そんな話まであってなかなかに面白いことは面白かった。そのディープインパクト、東京入厩で天皇賞・秋に登録の話があって、選択肢を広げておくための登録はこの陣営の常套手段であるけれども、今し方そのディープの年内引退が決定したようで、いささか驚くとともに、今後の秋三冠に皆勤する公算も大きくなったように思える。
 JRAが今からすることは、ディープ騒ぎをさらに盛り上げることでなく、盛り上がりに引き寄せられた初心者たちを、競馬に引き入れ、虜にしてしまうことで、いずれディープの子がターフに帰ってくる、というのは少々気が早いが、たとえば兄ブラックタイドや弟オンファイアニュービギニングの存在を教えてもいいし、ダービーでディープに精一杯抵抗したインティライミがG1戦線をあきらめて福島記念に向かうとか、そんなことを宣伝してもいいし、多少えこひいきに見えることだってやっていいと思う。どんな分野のどんなファンにとっても入り口のある要素があって、その要素を基準にその世界を見始めるのだから、その要素からリンクするものを、わかりやすく示してやればよく、ディープがターフを去ってすべて去っては面白くない。
 テレビ東京の競馬中継を担当する矢野アナが東スポのコラムに書いていたが、同局のプロデューサーだかが、凱旋門賞に赴いてレイルリンクからの馬券でしこたま儲けたというが、ディープ人気が気に入らない人はそういう道もあって(その人がディープをどう思っていたか知らない。心と馬券は別でもいい)、俺がどうしようかはそのときになって考えるが、とにかく祭りは大きい方がいい。

追記:ラジオNIKKEIのサイトより
http://keiba.radionikkei.jp/news/20061011K10.html

午後3時7分、東京競馬場の事務所2階大会議室に池江泰郎調教師が入場。いつもどおりの穏やかな表情だったが、言葉の端々に残念さもにじませた。

決まったことであれば年内の残されたレースに全身全霊をかけてベストを尽くしたい。そのレースを見て気が変わってくれればいいんですけど(苦笑い)

 この記事を読んで感じるのは、金子真人HDに対する嫌悪感……を、少なくとも書き手が感じているということ。ここまで競馬メディアが書くということは、同じように感じているファンも少なくないのかもしれない。極端に言えば馬主の横暴、と。
 馬主、調教師、騎手、そして厩務員や調教助手、装蹄師まで含めた‘チーム・ディープインパクト’は、競馬的にも対外的(対・非競馬メディア的)にも最良の結果を残してきたが、ここにきて亀裂を感じさせる。これは金子真人あるいは社台の失策のようにも思える。もちろん、今さら言う事じゃないが馬は馬主のもの。まさしく馬主のビジネス。とはいえ、ディープインパクトがビジネスにおける金の卵の最上級足りうるのは、そのようなチームが広く競馬外にまで及ぼした影響、そしてファンの存在もあるはず。来春からの種牡馬入りについて、時間的な制限もあろうが、なぜここで現場スタッフへの根回し一つできなかったのか、少し不可解だ。あるいは、純心なファンも納得できるような理由一つ用意できなかったのか。
 ……って、ありもしない脚部不安でっちあげろとは言わないけどさ。で、俺の勝手な希望を最後に述べれば、少なくともあと二戦、ということ。できればJCと有馬記念。ホームで外国馬を戦い、最後のグランプリへ。天皇賞天皇賞馬といずれかでぶつかるだろう(秋天→マイルCSorエリ女とかいう馬が勝つ可能性だって十分あるけど)。というわけで、あまり来年の続行に強い願いは抱いてはいない。むしろ、ディープインパクトがどのような子を出すのか、その点に興味がある。この先俺の人生が競馬にかまける余裕あり続けるとは限らず、一年も早く子が見たい。むろん、サイレンススズカのようなケースが念頭にないわけではないし。もちろん、これは俺の嗜好。誰の意見を批判するものでもないし、できるものでもないので。