(34=タレント)

http://www.nikkansports.com/ns/sports/sumo/p-sp-tp1-050705-0010.html

 兄弟確執騒動の渦中にある元横綱3代目若乃花花田勝氏(34=タレント)の代理人弁護士が4日、花田氏が東京家庭裁判所で父の故二子山親方(元大関貴ノ花、享年55)の財産について相続放棄の手続きをしたと発表した。

 沈黙を守ってきた兄が取った最初で最後であろう一撃が、相続放棄。これでは一方的に舞台に上がってまくし立てていた弟が、まるで道化のように見えてしまう。もちろん、「親方の生前に決めていたこと」なんていうのも信じがたいが、何せ兄は‘実’の部分であるところの遺産を受け取らない。そこにある種の説得力が生じる。
 この騷動は、これでとりあえず幕引きだろうか。いろいろと尾を引くだろうけれど、貴乃花も本来の居場所である土俵の世界に戻れるだろう。報道ステーションだったか、稽古の様子などを密着取材していたが、なるほど彼は土俵近くだといきいきとして、自然なのだ。テレビ番組に出演しているときの、妙な不自然さというか不気味さは全く見られない。やはり土俵の鬼は土俵にいなければいけない。土俵の近くにいる貴乃花には、好感すら抱ける。
 一方で、兄はどうなるのか。「花田勝氏(34=タレント)」という報じられ方をされている今、彼はもはやテレビの側の人間でないように思える。そして、テレビの側とは、テレビの置いてある場所であり、それを見る人間の側だ。同じテレビに映る(花田勝は今回あまり出てこなかったが)といっても、それは大きな違いがあるように思える。例えば、杉田かおるの件について、芸能レポーター梨元勝はこちら側からあちら側へいったん置きやられているとか、そういう感じのものだ。
 しかしまあ、別に花田氏は心配されるような人間でもないだろう。この境遇で角界を出るということは、それだけ世渡りに自信があるということ。ちゃんこ屋がどうなのか知らないが、曲がり間違ってもK-1で殴り合いをするようなことにはならないだろう。あるいは、この花田氏のような顔をしたのが、本当の‘渡る世間の鬼’なのやもしれぬ。