『イノセンス創作ノート 人形・建築・身体の旅+対談』押井守

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 最近俺の枕元には攻殻機動隊のコミック二冊が置いてあって、寝る前に読む習慣になっている。繰り返し読むうちにいろいろな発見や理解などがあり、なおかつとても眠くなるという利点もある。そんなわけもあって、この本を買った。……というのもあるけれど、単に涼んでいた古本屋から手ぶらで帰るのも悪い、と思った事情もある。それに、やたら状態が良くて、まだ誰にも読まれていないかのようなピカピカぷりだったのだ。
 などと購入についてのエクスキューズをしてしまうのは、どうにも俺が押井守について特別なファンでもない(もちろん嫌ってるわけはない)わけで、どうもこの本はファンなどが買うようなものに思えるのだ。ひょっとして、前の持ち主も攻殻機動隊ファンか何かで、当てが外れて買ってしまったのかな、などと想像する。
 かといって、内容はファンでなくとも楽しめるというか、ためになるようなものであった。「人形・建築・身体」と並ぶと、少なくとも俺は興味がある。そして、内容も澁澤龍彦の著書や、わずかな美学、あるいは身体論などの下地が幸いにもあったので、スラスラと読み進めることができた。そしてまた面白いのはアニメとアニメ制作の話であって、ほとんどアニメを見ていない俺には大変興味深く思えるいくつかの点があったようにも思う。
 というわけで、攻殻機動隊の映画というやつは、蘊蓄の固まりである原作に、能書きの固まりである監督が作ったものだったのだな、と思った次第。それだけにキムチと納豆を混ぜ合わせたようなエネルギーが生まれたのかな、などとも思う。いや、納豆キムチは体にいいですよ、血液サラサラ