競馬に偶然を

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 「あまり考えたくない人たち需要」に対応するためランダムピックのようなものを導入するとか、もう少し手間のかかる「3択に3回くらい答えると自分の好みに近い馬券が出てくるランダムピック」のようなものを導入するとか、いろいろ考えてもいいだろう。

 競馬ライター須田鷹雄の日記を読んでいたら上のような記述。ふと、先日法事で会った親戚のことを思いだした。その人はある種の出目を使うのである。しかし、徹頭徹尾の出目主義ではなく、ちゃんと競走馬や騎手についての知識があり、一般的な予想をして本命馬を出した上で、その相手に出目をつけくわえるのである。それは「5の相手には14」とかしごく簡単なもので、俺はなかなか面白いやり方だな、と思った。自分の力では及ばぬ脅威の穴馬券を、非理性の力で買うことができる。その偶然性は楽しそうだ。
 俺も考えるのが好きな類の人間なので、偶然を取り入れてもそれはスパイスにすぎない。だが一方で、上の日記にもあるように日本では「考えないギャンブル」が流行っているという。なるほど、そういうものか。そういえば、宝くじ売場の窓口に何かデジタル・カウンターがあって、それはスイッチを押すとナンバーズ用の数字をランダムに出してくれるものだったっけ。そういうのを競馬に取り入れようというのが、上のアイディアと言えるのだろうか。競馬予想ソフトなんかを使えば、「3択に〜」の方なんかはできるんだろうけど、そういうソフト自体が「考えない」からは遠いか。しかしなんだ、やはり、マークシートにランダム欄なんかあるのは面白いかもしれない。
 あるいは、オッズ・プリンターの横にランダムピックマシーン。しかし、そんなのをこちょこちょいじるのは面倒そうだな。この世で一番優秀なインターフェースは人間だとネグロポンテ先生も言っていた(『ビーイング・デジタル』の冒頭、ビデオ録画のくだり ASIN:4756139655)し、ここは一つ人間がいい。人間が適当な数字を書いて渡す。一応代価は百円くらい。……って、単なる予想家じゃないか。なんなら、スポーツ紙でも買えば山ほど載ってる。しかし、誰の予想に乗るかなんてのは、それ自体ものすごく厄介ごとだし、その誰かが考え抜いて出して結果に偶然の面白味は少ないか。偶然を求めるには機械かサイコロ、人に無心は難しい。