アングリー・ハングリー・ホワイトデビル

 深夜石川町から山手へ。おれの前を一人のサラリーマンが歩いていた。中肉中背肘までまくり上げたワイシャツ、尻のポケットには緑茶のペットボトル。追い抜こうと横に並ぶと、その男が「ファック」言う。おれ驚いて横目に見ると白人男、自分の携帯の画面を見て罵り言葉。早足になる白人男、先に行かせるおれ。怒れる白人男、道路脇の反射板の二つに一つを左手で殴る。いいぞ白人、もっと殴れ。「ファック」つぶやく、また看板殴る。そうだ、もっとやれ白人。たまにペットボトル飲む白人。怒れ、白人、もっと怒るんだ白人。携帯見てファック言う白人。よし、いいぞ、もっと怒れ。もっと怒るんだ、白人。白人、もっと殴れ、もっとやるんだ、いいぞ、とてもいいぞ、白人、もっとやるんだ、やってしまえ、白人、いいぞ、もっとやるんだ、やれ、やるんだ、まだまだやるんだ、そうだ、やれるぞ、白人、とてもいいぞ、白人、とてもいい。