コマーシャル・ハイ

2005不快CM大賞
 気づいてみたら年の瀬ということもあって、今年一年を振り返るような企画を目にするようになってきましたよ。そんな中、ネットというメディアでしか語られない、などというのは持ち上げすぎかもしれないが、ネット上でもそんな話題を見かけます。CMの話、私は不思議といざ思いだそうとすると、よいも悪いもCMの記憶のかけらすら出てこないのだから、存外テレビを見ているテレビ好きと思っていながら、こころは別の銀河をさまよってるのかもしれません。そこで、あるサイトのアンケートに頼って現時点での投票結果を見ていきましょう。

一位:コマー猿くん
 これは文句ないんじゃないでしょうか。私もこれは不快だ。何がCMのCMだ、コマーさる君だと思う。CM自体のつまらなさや、あのサルが醸し出す不愉快さの他に、もう一つ嫌なところがあります。それはCMがCMに対して自己言及する態度です。たしかに、CMはその時代の反映であったり、「番組ではなくコマシャーるを見ているのだ」とどこかの学者が言ったりするような存在です。そうだ、たしかに面白い文化の一端だ。だけれどね、それを自画自賛しちゃお終いだろうという気がする。やはりCMは、あくまで「トイレの時間」であって、番組という刺身のツマなわけで、ツマどころか、食べられないビニール笹みたいなものです。実際に金を出す広告主にはそれじゃ困る、困るが、その中で精一杯ツマなりの創意工夫をするところに面白さがあったりするんでしょうに。あくまで視聴者にとってノン・グラータの存在ですよ、と。CMのCMをしたいなら、そこを卑下するくらいじゃないといけない。

三位:ウィンドウズのガキがお兄ちゃんでもどうのこうのというCM
 映画は知らないので三位です。私はMacを使っているが、別にMicrosoftWindowsに思うところは全くないタイプの、単に道具として私はMacを使っている人間だ。しかし、確かにこのところのCMはあまり面白くない。このガキのも「何様だ」という気になる。旅行に行きますとかいうババアのやつも不愉快だ(これは私の僻みから発している可能性が大きいが)。何というのか、これがバタ臭さとでも言うのか。しかし、MacのCMも……、全く思い出せないが似たようなものだったろう。うん、テレビは思い出せないが、印刷媒体のものは鼻白むようなのがあったと思います。iPod関係のはエミネムのとかかっこよく流れているが。

番外:ナショナル
 これは不快とかそういうのではないが、やはり印象に強くのこる代物だけに無効票を集めています。私はこのCMを見て思ったのですが、CMというのは本当に短いものだな、と。項内で「たったアレだけで型番が確認できるのか?/字が小さすぎるし時間が短すぎ。」と指摘されているように、相当の情報量が詰め込まれている。確かに型番も重要だが、家電の型番にピンと来る人はどれだけ居るのか? となると、AAなどにもなっているらしい(廃墟で見かけました)構造図も必要だ。もちろん、ずっと電話番号も表示させておかなければならないし、代表的な製品の写真も必要だろう。こう考えると、我々がふだん見ているCMの情報量がいかに少ないかと驚かされる、逆に。そして、どれだけ漠然としたイメージをぶつけてくるかが勝負になっていると、君は(イメージでこのコマーシャルをするとなると、すごくネガティヴで暗いデキになりそうですね。部屋の中で死んでいるお父さん、それを見つめる小さな子ども、みたいな。公共広告機構のCMをやってる人たちに任せるといいかもしれない)。
 先程のラジオニュースによるとこのCMももう終了するそうです(他に如何にナショナルのCMが多く流れているのか実感できましたね。しかし、私はテレビから完全に消えていたはずのナショナルのCMの何一つ思い出せない。あるいは、いろいろな製品を売る企業が、全CM枠を同一にするキャンペーンとかやってみてはどうでしょう。まあ、よほどのものでなければ不快大賞確実になりそうなものですが)。ある意味、私はこのCMこそがCMの中のCMという気がすると思うのはひねくれすぎだろうか。