ガブスレイ戦記 その3

 HGUCガブスレイのキットとしての出来について、俺はとやかく言えない。十年以上前のガンプラと比べようにも、覚えていないから仕方ない。しかし、よくぞここまでというギミックの細かさだとは思った。何とよく考えられているのか、と。
 しかし、ただ一つ不満のある部品があった。手である。手と指の繋ぎが弱くて、せっかくのフェダーインライフルどころか、ビームサーベルを持たせてもポロッと取れてしまう。
 そこで、業を煮やした俺は瞬間接着剤を用いることに。これも事前にダイソーで買ったものだ。それで、まずはビームサーベル用の手を固定してみることにした。
 正直、「ダイソーのだから」と瞬間接着剤をなめていたというのは認めざるをえない。瞬間接着剤を使うのも久しぶりで、まあ、あまりに不用意であった。ガブスレイの手と指をくっつけなきゃいけないのに、目前に現れたのは人差し指と親指がくっついた俺の右手と、ガブスレイの手とくっついた俺の左手だった。
 「あれ、本当に取れない。取れないよこれ!」とダチョウ倶楽部。「またまたそんなこと言っちゃって〜」と所ジョージ。画面の下には「※訓練されたリアクション芸人によるものです。真似しないでください」と冗談半分のテロップ。……俺のその瞬間の心象風景とはかようなものであった。フロイト先生もがっくりの人間心理。
 しかし、心象世界に逃げ込んでも仕方ないので、ちょっと力を入れる。でも、取れない。「あれ、皮膚?」みたいな。何かイヤな汗。それでも右手はオーケーサイン。接着剤のパックの説明を読む。「無理にはがさずにぬるま湯でもみほぐせ」とある。俺はオーケーオーケー心の中でつぶやきながら、ユニットバスへ。こんなことでガス代を消費するとは心苦しい。その心苦しさがちょぼちょぼのお湯の原因であって、多少手当てが遅れたとの誹りは免れない。やはり最後は、多少強引に引きはがすことになった。
 その後、俺の指から引きはがされたガブスレイの指をガブスレイの手にくっつけてみたが、それがちゃんとくっついたのだから、最初から量が多すぎたのであろう。なんだか白くなってしまったが、ヤスリで削ったりしよう。そうだ、もっと目の細かい紙ヤスリ買わなきゃ。それと、やっぱり灰色のマーカーとか必要かな。……と、すっかり次を作る気はできるだけ押しとどめておこう。