『ねじ式』/監督:石井輝男

ねじ式 [DVD]
 俺はつげ義春好きだし、浅野忠信好きだ。その両者が合わさった映画なんだから、もっと早く見ておけばいいのに、と思った。でも、どっかで不安に思ってるんでしょう?
 で、やっぱり好きなものと好きなものが繋がったりすると、あまりいいことばかりあるわけでもないと思った。まあ浅野のせいではないけれどもな。
 全編通して気になったのは、赤だの黄色だののフィルタだ。雰囲気を出すためなんだろけど、なーんか余計に思えた。ネムイ印象しかないよ。あと、音楽、音楽がどうもぜんぜんしっくりこない。うるさいといってもいい。一箇所もピタッと来た感じがなかった。
 おどろおどろしさばかり、悪夢の面ばかり強調しすぎのような気もした。『ねじ式』だけならともかく、『別離』なんかは、もっと四畳半の貧しさ感をストレートに出すべきじゃあないのか。
 それに、なんといっても『別離』パートの寝取られ感が薄すぎてがっかりだ。セパードが当て馬となって盛り上げておいて、餓えたキモ男の話で絶頂に。「何回やったんだ」ってのは本当に重い台詞のはずだ。一晩中、生と生の肉がふれあった、それじゃダメだと思った、あの絶望感、ちょっと女優の生足とイキ顔映したくらいじゃ、足りねえって! 俺のネトラレに対する期待を返せ!
 でも、収穫は二つくらいあった。多くの人が同意するだろうけれども、「もっきり屋」パートのちよじ。つぐみという女優さんらしい。うらやましいぞ、杉作J太郎! でも、もうちょっと隠微にお乳をなでろ、揉め、あと、あんまり色っぽすぎる顔はあまりいらないと思った。あと、頭の中で俺が想像していた「頑張れちよじ、ハッ、ドンドン」とメロディが違った(←これは言いがかり)。
 それと、もう一つは「やなぎ屋」パートで、海をバックに浅野忠信が手ェ広げてこっち向かって走ってくるイメージ! これは声に出して笑った。そんなとこ忠実に再現するとは。ああ、あと、女医の後ろの軍艦はよかった。
 というわけで、最初と最後の暗黒舞踏からオッパイだらけで、その点は満足できないわけでもないが、期待が大きすぎただけにかなり物足りない、そんな感想なのであった。
ねじ式 (小学館文庫) 紅い花 (小学館文庫) 義男の青春・別離 (新潮文庫)
 ……やっぱり原作だよな。でも、俺が本当に好きなのは蒸発系の旅日記ものだったりするだけれども。つーか、なんか映像化されてるじゃないか。なんか、不安だけれども、やっぱエロっぽいんか? エロなら見るか?

蒸発旅日記 [DVD]

蒸発旅日記 [DVD]