新春初笑

 ガキの使いスペシャルを見たのは1月1日になってからだ。もちろん笑った。笑ったが、腹筋が痛くなるほど笑ったのは別の番組だ。テレビ東京の、名前は知らぬが吉本系お笑い芸人が山ほど出ている番組だ。今田と東野が仕切っている番組だ。その中のプチ勝ち抜き演芸コーナーだった。
 ウランバートル! アベギス・ハンである。アップダウンの阿部浩貴という芸人だった。夜更かし夜明けのナチュラル・ハイで、死ぬほどツボに入った。東野が言っていたとおり、この時間帯だから、だろう。

 誰かと思えば、細かすぎて伝わらないモノマネ選手権の優勝者じゃないか。エアロスミスのコンビニ店員。男前モンゴル・フェイスからは思いつかなかった。
 この演芸コーナー、他にもかなりのインパクトがあった。スリムクラブ。これは強烈だった。初めて見たが、エンタなどに出ているようだ。詩吟の師範代である天津・木村によるエロ詩吟のひどさ(誉め言葉)。徹夜に弱くなった身には辛い。
 一方で、悪い意味で辛くなったのは「イス-1グランプリ」。よくわからないが、人選が、なんとなく合っていないような。あれはしかし、ハードルが高すぎるだろうというか。見ていて辛くなった。千原ジュニアが言ったように、ちょっとチャンネル変えるという解決策。
 そういえば、千原ジュニアといえば、麒麟の田村へのおちょくりが痛烈だった。「嘘でもしたためてみるもんやね」、「二億円持ってるらしいで」などなど。これに対する田村のリアクションは冴えず、客席もむしろ引くような。
 そうだ、ガキの使いの通常放送最後の回、松本が触れていたっけ。自分が最近収入のでかさネタをするとウケない。ピー音入りで、この田村も客に引かれているとかなんとか。
 その感じ、俺にはわかる。俺は貧乏人なので、正直言って、面白く感じない。かなりネガティブな気持ちになる。売れっ子芸人たちが、いくらテレビの中で情けない目に遭ったり、ひどいことやらされてたりしても、実は彼らが高収入者、そんなことはわかってる。わかってるけど、それがダイレクトに出てくると、ちょっと引く。それが「あえて」のネタであることは承知の上でも。貧乏人の、生理的反応だ。さあ、貧困層が拡大しているのかどうかは知らないが。
 というわけで、今日の昼頃のフジテレビ。麒麟が直接そのあたりに触れて、やはりそういう空気を実証してみせていた。これ、貧乏ネタで一気に成り上がったというのが皮肉かもしれない。ベストセラー、そして映画化、と。映画化、か。

そんでもって、前回今回の貧乏話集めて、短編映画集でも作れるんじゃないかって思ったです。

 2004年のやりにげコージー見て、ここらへんにこういった匂いを感じていた俺、してもしょうがない自画自賛をさせてくれ。しかし、俺が芸人の貧乏話を見た最初が、おそらくこのやりにげコージー。移り変わりが激しいお笑いの中で、実に足かけ四年続いているのだからたいしたもの。
 さて、何の話だったか。なんかもっと、面白い話をしていたような気がする。もういいや、このへんで。