『絶対の愛』/監督:キム・ギドク

絶対の愛 [DVD]
 “絶対の愛”なんてオメー、ずいぶん当たり前っつーか、普通の韓流みてえなタイトルだなあ。内容はさ、恋人に飽きられた女が整形して別人になって、またその男の前に現れて……って筋書きなんだけどさー、それほど斬新な、奇抜なアイデアって風には思えないよねー。ただ、整形大国って言われる韓国の、整形事情への当てつけみたいなのはあんのかねー、とか、そんなのは思ったなー。※グロ注意っぽい、整形手術シーンとかも出てきてさー、自国で嫌われる監督らしいっつー面はあるかもしれね。あと、関係ねーけど、美容整形医がさー、民主党の岡田そっくりだと思った。
 それでもやっぱりさー、新しい顔の新しい人間として彼氏とくっついてもさー、彼氏はまだ前の彼女のことを想ってて、目の前の新しい女より想ってて、それで、この女がさ、もうさ、いない人間なわけじゃん。消えちゃった自分、消してしまった自分が愛されてるわけじゃん。じゃあお前は誰だってことになって、そのあたりの感じはちょっとゾクゾクしたよねー。
 でで、それで、まー、以下ネタバレになっかもしんねーけど、事実を知った彼氏が、今度は自分も整形して、姿を消すわけよー。今度は女がさー、目の前に現れる男が、初めて顔を見る男が、もしかしたら彼氏かもって、そういうところに追い込まれていくわけじゃん。ルールがこっちに変わってからの方がおもしれーって思ったわー。でも、彼氏はもう、出てこないわけよ、その不在よ、不在だけど、ある意味遍在よ、この狂気んところ、これはよかったかなー。それで、ラストは、まあこんなもんかというー。
 というわけで、同じキム・ギドクでも『サマリア』や『うつせみ』、『弓』ほどのキック力が無かったってところー。あんまり美と奇をてらってないところで、ちょっとフツー風の引き出しってとこだけど、そこに落ち着いた感じもあってー。まあさ、これが十年に一本しか映画作らない監督だったりしたら、かなり残念って思うところだけど、どうも量産タイプみてーだからさー、「こういうのもありかな」って、そう思えるところはあるよなー。
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 関係ないけど、箸についてー。こないだ韓国風ステンレス箸買ってさー、冷たいもの(ざるそば、そうめん、冷や奴など)食うにはいいけど、熱いもの食うには向いてねー、ひょっとしたら韓国人も冷麺食うときだけ使うのかなー? とか思ったんだけど、この映画の中でさ、男が女をはじめて自宅に招いて手料理振るうシーンがあって、それがキムチ鍋ってところにカルチャーを感じるわけだけど、そこで普通に金属箸使ってたね。やっぱり、箸の熱さには慣れであってさー、箸の熱も美味と感じるようになって一人前なのかねー、金属箸の。俺は冷たいもん食うときにだけ使うよー。

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