神奈川臨海鉄道
神奈川臨海鉄道……。本牧の方の道路沿いで線路を見つけてから気になっていたが、こっからつながっていたんだ。それがたまらん。俺が何かの鉄道の運転士にでもなれるのならば、迷わず神奈川臨海鉄道を選びたいと思う。すごくたまらんと思う。駅なんかがこんなんでたまらん。
こんなんも駅であってたまらん。
たまらんの俺だけでないらしく、バイクでツーリング中の紳士も、わざわざ待ち構えていて列車を撮影していた。近づいていって、「臨海鉄道、たまらんですよね」などと声をかけようかと思ったが、俺はまだ神奈川臨海鉄道について何も知らないので、いずれの課題とする。
かなり先で「新興駅」というのがあった。調べてみると、これはもはや使われていない(鉄道用語よくわからん)ようだ。いずれにせよ、これもたまらん。
俺はどうも、たとえば埋め立て地とか、工場とか、廃墟とか、飛行機とか、鉄道とか、それらを写真に撮るとか、なんともたまらん対象が多いようだ。だが、どうも、なんというか、それらの何かのマニアにはなれないと思う。今さら、なれないのだ。なんというか、もう、脳の容量が足りていないのだ。キャパシティをこえている。それを感じる。競馬やプロ野球より先にそれらに出会っていれば、また別だったかもしれない。ただ、人生の出会いの順番は変えられないし、ハードディスクドライブよろしく、うまいぐあいに記憶を消したりもできない。そういうものなんだ。
大黒町・宝町・恵比寿町
すばらしい浮島の次、どこへ行くか。行くかというより、どうやって帰るか。このあたりから、なんか尻方面が痛くなってきたのだ。とりあえず、尻の様子を見るために、出来野というところのセブンイレブンでトイレを借りる。きれいなトイレだった。行きに立ち寄ったホームセンターも、オーケーも、なんか今回はトイレに恵まれていた。で、駐車場で地図見て考えた結果、産業道路をずーっと下って帰ろうと。でも、なんだ、尻は痛いのに、また埋め立て地も呼んでいるようだ。つーか、埋め立て地を越えていって、なんか新山下、本牧の方に出られないか? ということで、ちょっと左折してまた埋め立て地に。
そして、今度は船、船、船。
埋め立て地、運河、船。
俺は、客船はもちろん、ひょっとしたら軍艦より、こういう船が好きみたい。
しかしさ、なんでこれ、こんな囲われた中に二艘あんの? すごくいい。たまらん。どういう意匠? 意図? アート?
なにそのオブジェ。俺がこれを見つけたときのテンションは、山下公園の隅で作りかけのラ・マシンをみたときを上回った。決して街中をかっ歩する大蜘蛛機械を見逃した負け惜しみではない。たぶん。
ああ、なんというか、これは美しい。この世界。たまらん、いい、すごくいい。いい、すごく、たまらん。俺は、そんなたまらん機械になった。機械になって、なんとか股の痛みを忘れようとつとめた。つとめて、子安とか新子安のあたりから、産業道路に乗った。
産業道路
あとはもう、帰路。首都高横羽線道路の真下を走る産業道路を下るだけ。産業道路は産業の道路であって産業関連の車が多い。そのわりに、あんまり道幅は広くない。万全であれば、車道で一気に行きたいところだが、尻が。というわけで、ちょっと広めの自転車通行可歩道を選んだ。人通りはほとんどない。なんか駅があったり、電車が走ったりしてた。見たことのない色。鶴見線というらしい。ほとんどが工場従業員のための輸送機関! これはすごい! これにも乗ってみたい!
あと、wikipedia:鶴見線から歌を孫引き。
産業道路わきの歩道は、広くて比較的整備もされているのだけれど、なんかちょっとデンジャーな雰囲気もあった。こんな廃車もなんかもあった。右に写ってるような、ちょい怖めの看板も多かった。あと、工場と歩道を隔てるグリーンベルトの下に住んでいる人もいるようだった。
転けた! のではなく、段差のショック(尻の痛みが酷くて、なんかよたよたしてた)でチェーンが外れ、直してたら倒れた。いや、しかし、もしパンクしたらどうすんだろう? 修理キットとか携帯用ポンプとか持ってるけどさ。
こんな注意書きは初めて見た。そうか、解体しないのか。わかったぜ。
〜横浜
あとは、横浜市街地をスルーして、みなとみらい大橋渡って帰るのみ。途中、ピナレロかコルナゴかわかんないけど、ロードの人が抜いていった。さすがに早い。だけれども、信号ごとに追いつくことくらいはできる。なんだかそれが面白くなって、尻の痛さも忘れてヒートアップした。しかしなんだ、それを見ていて思ったんだけれども、前傾姿勢が違うわ。ママチャリほどじゃないけど、こっちはかなり上体が立っていて、橋の上とか風食うと辛いわ。で、姿勢を低くしようとすると、肘を曲げて、なんか漫画的、アニメ的な「頑張って自転車漕ぐ体勢」みたいになって落ち着かない。まあ、そんなに急いでいるわけではないけれど、風の抵抗も長く続けば、体力を削るかも知らん。
最後、山下公園あたりで一服しようかと思う。も、行ってみたらアホみたいに人がたくさんいて、なんだY150とかいうのやってんのか、まったく、俺は早朝の山下公園しか知らないから、呆然とした。仕方ないのでいつものスーパーに寄って、低カロリーのビールもどきなど買い込んで帰宅。走行距離65.5km。もうちょっとで、あのじいさんの言ってた70kmじゃねえか。もっとすごい距離だと思っていたけど、尻さえ痛くなければ行けた距離。つーか、まだ日も暮れていない。なんか、まだまだ俺は行けるような気がする。尻さえ痛くならなければ。
総括
■よかった点靴。自転車のために買ったナイキのフラッシュという、まあABCマートの店外で、「このサイズ限り」2900円で買ったやつ、これがよかった。なんで自転車のためかというと、先が細いから。こう、スポッとハーフクリップに入る。ほとんど失敗しない。これがよかった。
服。下に肉体労働用に買った高機能アンダーウェア、その上にユニクロで買った七分袖くらいの速乾シャツの二枚。これで、ぜんぜん汗が問題になることはなかった。つーか、カラッと晴れていたし、あんまり汗かいていないのかも。念のために着替えのシャツとウィンドブレーカー(g.u.で買った)をバッグに詰めていたけど、それもあんまり必要ないかな。
リストバンド。ホームセンターでいつか買ったリストバンド。ちょっと汗をぬぐうのに便利だった。ホームセンターの工事用小物、衣類系は自転車と相性がいいと思う。
ソイジョイ。一個食っただけなんだけど、なんかいいんじゃねえの? よくわからんが。
腕時計。最初、「余計なものはいらないんじゃないか?」などと、外して外に出たが、やっぱり取りに帰った、帰ってよかった。ケータイやサイクロコンピュータに時計表示あっても、やっぱりパッと時間見られるのはいいや、な。
■反省点
ズボン。結局思ったより汗かかなかったから問題にならなかったけど、やっぱり七分くらいがいい。と、今朝けっこうだぼだぼのカーゴパンツを思いっきり折り返して自転車乗ってみたら、これがあんがい軽快。店に入ったりするときは伸ばせばいい(伸ばさなくてもいいけど)。これで行こう。
尻。尻というか、蟻の門渡り問題。これはなんだかわからんが、たとえば「女性用生理用品をあてがうライフハック」とかもあるんじゃないかと思うが、たとえばそれで事故にあったりして、緊急手術になったりしたらどうします? 看護師さんとかが「あら、男のくせにお客さんきてる?」とか思ったらどうするよ? そのあと入院したら、ずっとナプキン君とか呼ばれる恥辱プレイ。いや、恥辱プレイならいいさ、死んだらどうする。女性用生理用品と一緒に棺桶に入れられるんだぜ。まあ、そのときは意識ないからいいや。
まあともかく、今朝サドルの高さと角度を変えてみて、さらにステムの高さを最低に下げてみて、まあどうか。
あと、最初からそのあたりにワセリンでも塗っておこうか。ボクサーの顔じゃないけど、こう擦りに対抗してヌルっと。でも、たとえばそれでドSの女子●学生に逆ナンパでもされたらどうしますか? 「へぇ、おっさんこういうの好きなんだ?」とか言って、見下された目でさ、ヴーンってさ、なんかバイブ突っ込まれたりするような気がする。塗ろう、ワセリン。
あとはなんだ、余計な着替えとか、たとえばロックは一個でいいとか、そういうところで、軽量化をはかろう。まあ、そんなところか。だいたい、街中を走って街中に行くのだから、コンビニ、スーパー、ホームセンター、足りなくなったらなんか買っちゃえばいい。そんなところさ、なあ。
■次の目標
次は西か南か、適当に思いついた方に行こう。ただ、長い一つの目標は立てた。神奈川県下全市町村踏破。……あんまりたいしたことねーかな。でも、やっぱり横浜市中区からすると南西の果ての方とか、丹沢大山の山岳地帯というのはどんなもんか、ちょっと想像がつかない。まあ、相模原市が広大な合併をしてくれて助かったわけだけれども、それで行こうと思う。うん。でも、西の、山の方は難しいかな……。