わたしの住むところのこと

 住宅専門家の話によれば、20代前半の単身者は、29平方メートル以下の部屋に住む人が7割を超えるそうです。実効有効面積は6畳程度しかありません。それに対して高額の家賃を払って、生活をやりくりしているわけです。所得の低い若者たちは、住むために働いていると言っても過言ではありません。

若者はいつまで家賃を搾取され続けるのか 老朽マンションを大リフォームの離れ業!若者だって家を持とう(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

 住まいのことなど考える。考えるに、俺はまず一軒家で育った。鎌倉の一軒家。庭もあった。まずまずだ。そして、その家を失って、今は家賃5万円のワンルーム・アパートに住んでいる。まずまずだ。今年で30歳になった。引っ越すつもりはない。というか、来月の家賃すらどうなるかわからない。
 住まいのことなど考えると思い出すのが、「反社会学講座」の以下の記事だ。

 すでに述べたように、多くの場合、若者の収入は低いので、支出の中に占める家賃の割合は高いのです。20%以上になります。それがさらに搾り取られる結果になります。パラサイトシングルが減れば、たしかに若者の間の格差は縮まるかもしれません。ただし、若者全員がいまより苦しい経済状態に陥って、ですが。
 それより捨て置けない問題は、彼らが払った家賃の行く先です。若者が苦労して稼いだ収入が、家賃として「お金持ち」である大家の懐に収まってしまうのです。ひとり暮らしの若者が増加することによって、得をするのは大家だけです。そして今回の検証でおわかりになったと思いますが、大家というのは、少数の富裕層に属する人たちなのです。ひとり暮らしの若者が増えれば増えるほど、若者はより貧乏に、お金持ちはより贅沢な暮らしができるようになるだけのことです。これのどこが、公平な社会なのでしょうか。

http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson4.html

 最近、「パラサイトシングル」って言葉あまり聞かなくなったな。まあともかく、この記事を読むまで、あまり賃貸とか大家とかそういったことについて、考える機会がなかった。しかし、これによって、「人間が生きていくのに、誰かに場所代を払わなければいけないのはどうも釈然としない」などという思いが芽生えたのもたしかだ。

眠りからさめて、ベッドの中で俺はこんなことを考えた。
「……そういや、持ち家か借家かみてえな話があるけど、まあ俺はこの家賃五万円のワンルームアパートで一生過ごしてもいいんだけれども、しかしなんだ、そもそもどっかに住んで生きるだけでショバ代とられるってのはどうなんだよ。こっちは生まれる前に<ショバ代払います>って契約書にハンコ押したわけでもねえし、生まれただけで借金苦じゃねえのか。
 だからなんだ、住む場所くらい、この五十何億分の一として、生まれた瞬間に分譲されてていいんじゃねえのか? 
 でもだ、なんだかわからんが、この世はそうなっていないわけであって、おそらく、上のようなことを考えた奴だっているだろうけれども、やっぱりそっちよりこっちの方が、なんだかんだいって社会が回っていくようになってんだろうな。そこんところの、土地の私有とかなんだとか、まあいろいろの歴史があるんだろうな。

三十歳のおっさんにして学びたい - 関内関外日記(跡地)

 これを書いたのは今年のことだけれども、独り暮らしをはじめてから意識してきた話。ああ、ちなみに、公平を期すために書いておくと、俺の父方の祖父は銀座の近くに投資用のマンションを一室持っていて、家賃収入を得ていた。俺もその恩恵を受けていた。それは実家が失われるずいぶん前に処分された。
 まあ、ともかく、そういうことだ。なにかがおかしいと思う。すこしおかしい。なんというのだろう、うまく作られ、売られていないというのか。よくわからないが、ちょっと難しくてわからんが、新しい、立派なマンションが建てられていくのを見ても、「いったい誰が入るのだろう?」というような。いや、入れる人間もいるのだろう。でも、そんなにいるの? うちの実家だって、今のご時世じゃ一括で売れないっていうから、二つに分譲して売りにだされたんだぜ。そんなに大きな家ではなかったのに。
 とはいえ、俺個人に「今より広い部屋を、すみかを!」という気持ちはない。なんというのだろう、ワンルーム・アパートというものが、どれだけ自分の身の丈に合っているのかというところだ。まるでヤドカリが自分の体にぴったり合った貝殻を見つけたような感じがする。これ以上広くても、もう手におえない。だから、不満を訴えるとすれば、「もっと安く」だ。
 いや、心底言わせてもらえれば「ただで住ませろ」か。大家に対してというより、世界に対してか。建物の維持管理代というのならいいんだ。でも、ショバ代というところが、なんか嫌なんだ。なんか嫌だ、といったところで、さあどうしていいかわからないのだけれども。

で、老朽マンションってどのくらいもつんだよ?

 なんか話がそれて終わってしまった。本当に書きたかったのはこれだ。

東京でも地方都市でも、若い人が好んで古い建物に住み、リフォームして味を出して暮らすブームが起きています。

若者はいつまで家賃を搾取され続けるのか 老朽マンションを大リフォームの離れ業!若者だって家を持とう(3/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

 老朽マンションというか、安いマンションことは知っている。チラシなど見ると、「月々のローン返済が家賃と変わらん」と思えるようなものもある。だいたい部屋も増えるし、立地も、この関内関外により近かったりする。たった今、この瞬間ではちょっと無理な話だが、季節によっては「むむ」と考えることもある。
 ただ、気になってしまうのが「築30年」とか、俺と同い年みたいな年齢。これがよくわからない。どれだけもつの? と。立て替えとかになったりしないの? と。そのあたりがよくわからない。まあ、大きな地震とかを考慮しなくて「あと50年、お前が死ぬくらいまではもちます」というのならいいのだけれども、そのあたりがわからん。べつに中なんてどうでもいいのだが、その、ガワというか、箱というか、そのあたりのことが、わからんのだ。なんだ、結局、わからんという話だが、そんなものなのだ。おしまい。