恐怖の殺人マンション

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051123-00000101-yom-soci

 首都圏のマンションなど22棟の耐震強度が偽装されていた問題で、東京と福岡の建築主2人が22日、別々に記者会見し、国土交通省から震度5強地震で倒壊する恐れを指摘された計10棟(入居済み)のマンションを解体する方針を示した。

 姉歯事務所による偽造を発端とした耐震強度偽造問題。今朝だったかワイドショーのテロップに「殺人マンション」なる言葉を見つけ、なかなか言うもんだと思ったものだ。が、それは「シノケン」(社長若いな)か「ヒューザー」の社長が会見中に漏らした言葉であった。
 しかしなんだ、俺がこの話題について驚いたのは、偽装や欠陥建築自体もそうだが、当初国が「民と民の問題」と一歩引いた立場を表明したことだ。そりゃないだろう、と。俺は今回の件で官にまったく落ち度がないとは言わない。しかし、もしも一切の責任や落ち度が無いとしても、やはり国はマンション住人を救うべきなのだ。国民の生命・財産を守るのが国の仕事なのだから、それは何をおいてもやらなきゃならん。
 別に俺はマンション住人に税金から購入代金を払ってやれとか、ホテルに住まわせて四万円のステーキを食わせろと言ってるわけじゃない。それこそ、今すぐにでも退去命令を出して建物を空っぽにして、一刻も早く解体しろと言っているのだ。その費用なんかは後回しでいい。その間、住人には仮設住宅をあてがうなり、公民館や体育館に避難してもらうべきなのだ。「民と民」などと悠長に構えている理由がさっぱりわからないし、国が対応に乗り出すとした今にしても、あまりに呑気じゃないかと思えてならない。
 だって地震は待ってくれないんだぜ。今この瞬間揺れてないのは偶然にすぎない。もしもこの問題が、「真夏の気温に耐えられなくて建物が溶ける」とかいうなら時間の余裕もあろうが、敵は地震だ。不幸中の幸いといってはなんだが、今回は予防のチャンスが与えられているんだ。建物が潰れたあとに死体や怪我人を処理し、避難住宅を用意するより、今すぐやった方がいい。責任の追及も罰も補償もそのあとでいい。違うのか? あるいは、耐震の問題は図面上の計算値で、実際はそれほど平気とかいう話なのか? それだったら、そんなに騒ぐなよ、と言いたい。
 ……以上がこの件に関する俺の公式見解である。親しい人に語られる私的なコメントは、だいたい言葉に書き記せるようなものではないtaste of honeyの誘惑なのである。