『とある魔術の禁書目録』のどこが面白いのか

 はじめてアニメのオンライン配信に金を払った。『とある魔術の禁書目録』である。外伝のアニメ『超電磁砲』から入り、いま2期進行中。どうせ2期を見るのなら、押さえておかなくてはもったいないという気分からなのだけれども。
 ほとんど一気に見た。なるほどこれが上条さんであるか。魔術師や超能力者相手に、説教→殴る→説教→殴るで貫いていくさまは癖になりそう。とはいえ、全般的にそのテンションや展開にどうもついていけないところもあり、とくに御使堕しのあたりなど、なにかどうも釈然としないところがあり、あの金髪の人がなんで旅館に戻ってきていたのかとか、あるいは対アクセラレータにしても、実験中止にしたところで、シスターズが処分される可能性の方が高いんじゃないかとか、だいたい同じ顔の人間1万人社会に戻せるのかよとか、まあべつにいいのだけれども。
 それでも、一気に見たというわけであって、ケチの付けどころは山ほどあるかもしれないが(俺の読解不足や見落としもあるだろう。原作も読んでないし)、これを見ていてふと思い浮かんだのが山田風太郎だった。べつに『とある』に過去の有名人が出てくるわけではないけれども(パラケルススの名やクロウリーは出てくるけれども)、山田風太郎の、たとえば『武蔵野水滸伝』などである。

千葉周作斎藤弥九郎桃井春蔵、男谷精一郎、伊庭軍兵門、浅利又七郎、島田虎之助、高柳又四郎、大石進、樋口十郎左衛門、勝小吉、平手造酒、拳骨和尚、秋山要助……幕末を彩る剣客剣鬼。武蔵野に蟠踞する国定忠治、大前田栄五郎、笹川繁造、清水次郎長……任侠侠客。この群像をいり乱れ、ないまぜて操る怪童南無扇子丸! 対するは遠山金四郎の子息、銀五郎、鳥井燿蔵の娘お燿!! 解説・菊地秀行

 まあ、べつに『武蔵野水滸伝』でなくてもいいというか、その名前の元であるところの『水滸伝』でもなんでもいいけれども、こういうオールスター大集合的なノリというものがあって、それをなんと名づければいいのかわからないのだけれども、これがもってる面白さというのは、おおよそ古今東西の人類に通じるのではないかなどと思うのだけれども。古今東西はともかくとして、少なくとも俺はいろいろの不良が群雄割拠するヤンキー漫画、『ろくでなしブルース』や『湘南純愛組』だのも、そういう面から好きであるし、『ストライクウィッチーズ』世界も同じような面がある。というか、おおよその「キャラ型」少年漫画、ジャンプ漫画などはそののりを有しているだろう、昨日の敵は今日の友、『ドラゴンボール』だってなんだって。
 というわけで、そういうカタログ的、選手名鑑的な面から『とある』世界というのは好もしい。『俺妹』の妹からは『厨二病』といわれそうだけれども、二つ名のあるいろいろの能力者がいて、いろいろのマッチメークなど思いうかべれば楽しいというような要素がある。あるいは、魔術と科学というあたりから、空手対柔道、ボクシング対レスリングなどという異種格闘技のテイストもあって楽しい。
 とはいえ、そのあたりで、まだここまでのアニメを観るかぎりにおいてはレールガンと魔術師がガチンコ対決するようなシーンはなく、若干消化不良というところもあるのだけれども、ただそのあたりはむしろ馬場対猪木幻想のような、楽しみはあとにとっておく面もあるのだろうかなどと想像するのだろうけれども。そうか、あるいはプロレスというものも、そういう幻想によって成り立っているところがあるのだろうな。なんらかの幻想殺しにぶっ殺されてしまったのかもしれないけれども。

 まあ、そんなところで、2期に出てきた面々も、それほど前から出ていた人たちでないこともわかって一安心というところで、視聴を続けようところなのでした。おしまい。

関連______________________

  • 膨大な固有名詞があること
  • 二つ名や異名があること
  • ある規格下にあること
  • 分類がなされていること
  • 公式の記録があること
  • 細かい数字の記録があること
  • 逸話が尽きないこと

 ……このあたりのテイスト。