(↑素人が作った××ビデオのタイトルの方がまだ凝ってるんじゃないかというメニュー)
若松孝二、1978年の作品。爆笑問題の田中裕二とドランクドラゴンの塚地武雅を足してホンジャマカの石塚英彦みたいにしたやつが、改造ピストルで延々と殺人と強姦を繰り返していく。ケミカル・ウォッシュのオーバーオールを着ているので、ことに及ぶときはいちいち脱ぐのが面倒くさそうというのが堪能できる。
冒頭のシーンがいいなって思った。スカッと明るい青空に、白く輝く、団地、団地。今は煤けてしまっているだろう団地。そこを、主人公が古いママチャリをギコギコ言わせて、見上げながら走るんだな。それで、適当な部屋をひとつ選んで、団地妻強姦なんだけれども、その室内の、台所周りとかのリアルさもね。いや。ふつうにリアルなのかもしれないけれども。
そのあとも、だいたい多摩川あたりの河川敷、工場地帯、飛行機と、俺好みの風景が映し出されるんだな。とか思ってると、川岸で工場の絵を描いてる女が「すてきな風景よね」とか言って、なにいってんだみたいなことになって、射殺されて犯されたりするんだけれども。
まあしかし、この主人公ね、これはすごいよ。淡いピンクのTシャツに、薄い青色のオーバーオール。いかにも冴えなさそうな風貌。今風に言うならば非モテの処女厨か。これが、『洗濯屋ケンちゃん』みたいにやってるアベックとか、カーセックスしてるアベックとか見つけると、まずは覗き見するんだよね。これが主人公の視点で、それでバッと姿を現すと、安っぽいピストルで脅したり、安っぽくケツの穴を撃ったりして男を排除して、あるいは女も殺してしまってことに及ぶ。そんときの視点が、最初の主人公の視点と一緒で、「あれ、俺が観てる? 俺、誰?」みたいな感覚になったりね。
ああ、なんだろうな、やっぱりこれ、この主人公がな。これが、街を歩いてるシーンとかな。風景が映るのがいいな。あと、音楽か、音楽、なんか阿部薫といわれても誰かよく知らないけれども、まあ、いつもこういう映画のフリージャズ(?)っぽい音楽とかはえらく乾いていてかっこよかったりするんだけれども、それもあるかな。
まあしかし、基本、デブオタっぽいのが、犯して殺す、殺して犯すを繰り返すばかり。これを時代背景や社会、あるいは闘争と見ることもできるかもしれないが、しかし表面は単純、画質はホームビデオっぽいというか。これを何ものかであると論じたらかしこそう、という感じ。それで、この映画、ラストもすごいんだけれども、このなんというか、まあこういうものかというか、しかし、これもなんか解釈とかするの? するんだろうな? まあ、いや、そのあたりは観てください、おしまい。
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■若松孝二映画の感想。