iPhoneのアプリケーション、パワフルIPATが3/2でサービスを終了した。
パワフルIPATとはどんなアプリであったか? JRAの馬券を買うためのアプリだった。正確には、直接馬券を買うわけではない。JRAのIPATに買い目を送信するアプリだった。なにを言ってるかわかんない、という人間にこのエントリーは意味がない。べつの記事でも読んでください。
さて、困った。おれはいつからかわからぬが、パワフルIPATで馬券を買ってきた。iPhoneでパワフルIPATとスマート出馬表(by亀谷敬正……これはアプリではない)を切り替えつつ、東スポ紙面を見て馬券を買ってきた。これは完全に確立した手順であって、おれの競馬というのはこれによって成り立っていた。
そのなかで、パワフルIPATがなくなってしまった。ああ、パワフルIPATがどれだけすばらしいアプリであったか。いや、そんなにすばらしいシステムがあったわけではない。実にシンプルなアプリであった。だが、シンプルはベスト。これに尽きる。レースの一覧があり、買い方の一覧があり、買いやすい選択肢があり、簡単に買い目に強弱がつけられた。シンプルな当たり外れがあり、その日の、その週の収支が見られた。それだけであって、それのいかに素晴らしかったことか。
なぜかパワフルIPATが起動しない。調べてみると、サービス終了。netkeibaのアプリだったが、今後はnetkeibaそのもののアプリを使えという。
……使ってみたが。ひどくごちゃごちゃしていて、使いにくい。いや、netkeibaとしては、netkeibaの各種有料サービスを使えよ、という意図はわかる。無観客競馬の今こそチャンスというのもわかる(これは邪推)。いや、ごちゃごちゃしているのはいいのだ。だが、問題は、投票にかかわる部分である。ここだけちゃんとしていてくれれば、netkeibaの他のメニューが見えていようと文句は言わない。だが、投票部分がパワフルIPATに劣るのだからしかたない。
一つには、流し馬券入力後に買い目ごとの強弱がつけられないということだ。流し馬券は一定金額。それは紙の馬券のマークシートと同じである。だが、パワフルIPATでは、流したあとに展開させて、金額を入力できた。これは当たり前のことであり、当たり前に便利なことだ。これが、netkeibaのアプリではできない。流し馬券を買った上で、さらに別個に買い目を追加せねばならぬ。くそったれめんどうくさい。
だったら、netkeiba以外のアプリを使えばいいではないか。無料アプリの候補はMyKeiba、らくらくIPAT。いずれも、おれが使ってみた上で、上の「流し馬券を展開させて金額の強弱をつける」機能がない。結果の一覧とかも弱そうだ。たぶん、そうだ。
ノートPCを買ったので、これを使うという手もある。netkeiba.comから買える。おれの希望に近い要素はある。が、テレビとPCの二画面というのもなにかうっとうしいし、マウスとキーボードというのも面倒だ。さくさくいかない。
だれか、おれのパワフルIPATを返してくれ。頼むから、とすらいいたい。買い切りアプリなら二千円でも出すし、月額なら六百円くらい出してもいい。それだけ優れていたというか、ともかく直感的で、シンプルで、すぐれたアプリだったのだ、パワフルIPAT。netkeibaにも考えてもらいたい。パワフルIPATと同等の機能をつけてくれ。ああもう、馬券が買えない。
……といっても買うんでしょう? というのは甘い。ほんのちょっとしたことから、馬券を買わなくなる。たとえば、南関競馬。おれは、アナウンサーの及川サトルがいなくなってから、相当に興味を失った。馬でも騎手でもなく、アナウンサーだ。それだけ及川サトルの実況はすばらしかった。しかし、その実況が、おれの南関競馬への愛を支えていたとは思いもしなかった。失って初めてわかる、というものだ。
というわけで、おれはパワフルIPATの消滅とともに、中央の馬券をあまり買わなくなるかもしれない。今週は日曜休日出勤ということもあったが、土曜の競馬はアプリの使い勝手を調べるばかりで、ろくに馬券を買えなかった。来週はどうだろうか。来週もそうかもしれない。使い勝手の悪さから、メーンレースしか買わなくなるかもしれない。重賞しか、あるいはG1しか……。
それでどうなるか。ひょっとすると、ギャンブルに費やす金が減って、真っ当な人生というものに近づくかもしれない。が、たかだか馬券を買う金が減るくらいで、おれが真っ当な人生といえるだけの貯蓄を作れるわけでもない。おれの人生から楽しみが減って、ますます早く死にたくなるだけだ。そのくらいの、ことなのだ。本当に、まったく。
重賞ビームなんかも買っていい感じだったのにな、今年。