みんなお金を使わない理由を探していたんだ

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ここから書くことは試論……なんてたいそうなものじゃない。おれがふと思いつき、思いついたままとくに肯定する話も、かといって否定する話も出てこなかったことだ。その思いつきはいまだにもやもやと自分の胸の内にあって、どうにも気になってならないので、一度文章にして吐き出しておこうと思ったにすぎない。だから、なんの根拠もない。おまえの役には立たない。おれに役に立つかどうかもしらない。とりあえず、思っていることを書き連ねる。それだけのことだ。

というわけで、表題の通りである。

「みんなお金を使わない理由を探していたんだ」

ここでいう「理由」はなにか。言うまでもないか、新型コロナウイルスだ。これにより、日本経済、世界経済はえらいことになっている。ただ、そんな大きな視点ではなく、もっと小さなところで影響が出ている。そんなニュースは尽きない。名指しされた施設は営業を自粛せざるを得ない。感染者が出た飲食店、そのまわりの飲食店には客が来ない。小劇場に役者の姿も客の姿もなく、ライブスタジオに音楽は響かず、人は花を買わない。

ただ、この一連の自粛の嵐を見ていて、「そこまでか」と思わずにはいられない。おれは前に、このウイルスについて、「人間を殺すのではなく、負傷させる対人地雷のようだ」と書いた。致死率は低くない。しかし、他の人間を引きずり込んで、戦力を削ぐ。みな、引きずり込まれている。

が、そこで思ってしまったのである。「みんなお金を使わない理由を探していたんだ」。

変な話だ。よくわからない。おれ自身がよくわからない。よくわからないが、「コロナウイルスだから仕方ない」と言いつつ、本当は使いたくなかった金を使わないで済む、という意識があるんじゃないのか。今日の消費は社交的なものであるとどこかで読んだが、「コロナウイルスだから仕方ない」という理由によって、あまり乗り気でない社交をキャンセルできているのではないか。場所取りも、お酌をするのも面倒なお花見の自粛が出てラッキーだ……。

そんなマインド、マインドでいいのか? わからんが、そんな思いはないだろうか。無論、「みんな」というのは主語が大きい。とにかくCOVID-19の直撃を受けてしまった業種の人もいれば、全国的な休校によって困ってる親というのもいるだろう。だが、まあ、なんというか、おれのイメージでは「みんな」というくらい大きなものなのだ。

これは、どこからきたのか。消費税増税で冷えていた、というのもあるだろう。もう、足腰弱ってるところにきついローキック食らったようなもんだ。老後の資金二千万円、そんなのもあるだろう。が、なんというのだろうか、もっと前から、もっと大きく、なんというか、どうしようもない感じというものを皆がうすうす感じていて、どこかで「もう金を使わないで生きていけないものか」という思いを抱いていて、そこにきてコロナ。ああ、コロナなら仕方ないな。自粛しなきゃいけないな。外食するのも、イベントに出かけるのも、ジムに行くのも、観劇するのも、花を買うのもよしてもいいか。いいんじゃないか、それが今の正しいふるまいだ……。

というわけで、みんなお金を使わなくなってしまった。失業者の群れが街を這いずりまわった。金持ちはどこか楽園に逃げてしまった。肉屋に肉はなく、花屋に花はない。おれは最後の安酒をあおって、橋から身を投げる。もとより使うような金なんてなかったんだ。だから、なにも変わりなんてなかったんだけどな。なんて、そう思いながら。

 

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