おれは菅義偉を間近で見たことがある。
11年前のことだ。
はーい、菅義偉どーん。これ、こないだ、自転車でモノレールの写真撮ったり、祖母と話したりしに行った日の帰り道、上大岡の駅での光景。駅から離れた上り車線走ってたんだけど、ふと信号待ちで向こう見たら「本人」ってあってさ、どの本人? って思って目を凝らしてたら、近くにいた運動員のじいさんが冊子くれて、見たら菅義偉でやんの。えー、じゃああの本人は菅なの? えー、マジ? 敗北と変わり身の連続ながら、なぜか本人は出世してきたという、集団就職あがりの叩き上げ。そんで、なんか最近、渦中の人物じゃん、みたいな。
で、物好きな俺、わざわざ自転車降りて、横断歩道渡って近くで写真撮影。本当に菅なの。でもね、なんか、上大岡の駅前の空気は、菅さんに冷たいね。自民党への逆風? 麻生太郎側近への逆風? なんか、若い人とかガン無視っつーか、たまーに年輩の人が握手求めるくらいで、すごい無関心。俺は単にもう「あ、テレビに出てる人!」ってくらいの意味で近づいてるんだけど、ほれ、この顔見覚えあんだろ、みてえな。……あー、いや、しかし、なんかひょっとしたら、いつも見かけるから、もう飽きてるとか、そういうのもあるかもしらん。
……11年前のおれ、なんで「あ、テレビ出てる人」なのか書いておけ。ともかく、これは第45回衆議院議員総選挙での一幕であっただろう。辛くも民主党候補を破って当選したらしい。
で、おれはそのとき何を思ったか。それは覚えている。民主党に追い風が吹くなか、「自民党はドブ板してんなー」である。
……いや、選挙で街頭に立つのは当たり前だ。おれがこの日記には記していないが、おれはもう一度菅義偉を見ている。それは、民主党政権下になったのち、また上大岡で辻説法をしている菅義偉だった。自民党が下野しても、また道行く人に相手にされなくても、街頭に立っている菅義偉の姿だ。記憶があいまいなので言い切れないが、おれのなかではそうなっている。自民党はドブ板してんなー、と。
菅義偉は叩き上げだ。このごろになって、親が地元の有力者だったなどという話が出ているが、親が大臣でもないし、慶應の幼稚舎からエスカレーターで登ってきたわけでもないし、東大から官僚になったわけでもない。そのあたりで叩き上げだと言っていいだろう。
だからといって、菅義偉が内閣総理大臣として信用に足る人物かどうかはわからない。正直、おれは安倍政権下の菅官房長官を見て失望していた。叩き上げの変わり種のはずが、なんでこんななんだっていう印象が強い。
それにしても、なんだ、あの日、上大岡に立っていた菅義偉が総理大臣になってしまった。なってしまった、というのはなんだけれども、なるとは想像すらしていなかった。こうなったらもう、首相という座に就いたことによって、叩き上げならではの、なにかいいところを見せてくれたらそれでいい。
ところで、身近で見たからといって、おれは菅義偉の選挙区の有権者ではない。お隣である。お隣から、ものを言っている。横浜橋商店街もちょっと行動範囲から外れている。でも、横浜といえば横浜が地元だしな。地元だからなんだ、国会議員は国の代表だ、というところもあるが、やっぱりちょっぴり気になってしまうというのはあるんだよ。まあ、あなたが逆風のなかで道行く人から相手にされずも辻立ちしていたのは覚えている。まあ、がんばってください。
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ちなみに、おれが直接見た政治家には小泉進次郎もいる。小泉進次郎は将来、内閣総理大臣になるかもしれない。なにせ、このおれに相まみえているからだ。政治家はおれを詣でろ。詣でろ、て。