というわけで、横浜市長選挙が決着した。
おれは今回の選挙についていくつか記事を書いてきた。
それだけ、今回は難しい選挙だった。一人の、力なき横浜市民にとって。
で、結果はこちらだ。
立憲民主党その他野党の統一候補であり「ハマのドン」とかいう港湾利権を握った老害の藤木幸夫(おえっ)が大々的に支援する山中竹春が、結構な大差をつけて自民党の菅義偉首相が応援する小此木八郎を破って当選した。
情勢について、最初に出たのは「小此木やや先行、山中、林が追う」(とはいえ、序盤有利のはずの組織戦をする小此木のリードが少なかったので、菅義偉がひっくり返ったとか書かれていたが)だったのが、「山中、小此木が並ぶ」(この順番にも意味があったのだろう)になり、最後の最後には「山中ゼロ打ち(午後八時に当確)か」という具合であった。つまりは、かなり山中有利が伝えられた。
こういうマスコミの情勢報道を見て選挙行動が左右されるのはおもしろい話ではないと思う。あくまで、市民がそれぞれに立候補者の公約なり人間性なりを見て、それぞれに孤独の中で判断すべきであると思う。
……とは、思うが、「どうしてもあいつだけは当選させたくない。そのためには、僅差で二番目に嫌いな候補者に当選の可能性があるなら、それに投じてやろう」という考え方もなくはないと思うのである。
というか、今回のおれの投票行動は、ほぼ後者よりであった。ただ、「こいつは嫌」、「こいつも嫌」、「こいつだって嫌」……という、いろいろな面々が立候補した、横浜市長選挙史上最大数の立候補者がいたにもかかわらず、どうにも選択しがたい選挙だった。今までは死に票もいとわなかったが、今回に限ってはわが一票とはいえ殺したくない。そう思った。
思ったのだが……、直前の情勢報道を見て、「うーん、ならもうどうでもいいか」と思ったのも確かである。
そして、おれが取った投票行動は……。
横浜市長選挙投票してきた。タイミングの問題か、投票所に入ってから出るまでおれ一人だった。行き帰りの人は見ました。誰にも投票したかは内緒にする。 pic.twitter.com/QL6tikJzjk
— 黄金頭 (@goldhead) 2021年8月22日
内緒。
べつにいいだろ。秘密投票だ。おれがだれに投じなかったのか、あるいは白票を投じたのか、勝手に想像してくれていい。まあ、だれに入れなかったかというのは、おおよそ検討がつくとは思うが。
しかしまあ、予想以上に山中勝ったな。ただ、すごくざっくりして、いい加減で、適当な計算だけれど、もしも林が自民党系を割ることなく、もし林票がぜんぶ小此木に流れていたら、小此木勝利。まあそんなことはないだろうけれど、もうちょっとは接戦になったかもしれない。とはいえ、今このご時世での「菅首相が応援!」は、競馬でいえば60.5kgくらいの斤量を背負わされる感じだったかもしれない。もちろん、林が自民党系を割る(割るといってもそんなにたくさんの市議の支持を取り付けたわけではないけれど)ことがなければ、菅首相もどう動いたかわからないし、ほんとうになんとも言えないのだが。
で、この市長選、わりと全国的な話題にもなっていた。おれはどちらかというと、一横浜市民として、横浜市をどうするの? というところが問題だった。しかし、全国的には「菅首相が応援する元側近的地元候補が負けたら、自民党で菅降ろしが始まるのではないか」という興味である。「菅降ろし」という自民党の党内的な問題ではなく(まあ、今の自民の議席数からすると首相に直結する話なので党内の話だけとは言えないけれど)、「このコロナ禍の状況で自民党が支持されるのか?」という話である。
して、結果がこのようになって、今の政府がコロナ対策をよくやっていないと思う(おれもそう思っている)人からは、「横浜市民よくやった!」という声もある。まあ、そういうものだろう。もしも、これが別の市であれば、おれも「よくやった!」と言っただろう。
とはいえ、この市長選がどこまで内閣総理大臣というものの地位を脅かすかはわからない。自民党にも老いて力あるドンもいる。若手、中堅議員とって、「菅首相では選挙を戦えない」という声もあるだろうが、党のお偉方に首根っこを掴まれているのも事実だろう。まあ、どうなることか、知った話ではないが。
もちろん、不人気の菅首相が総裁選で負けて、新しい顔(高市早苗とか?)で選挙にのぞむこともありうるだろう。いろいろなものが、いろいろなものに影響する。政治はむずかしい。
まあ、そんな大局、政局についてなにか論ずるような能力もないので、床屋談義はここらにしておく。でも、今回の横浜市長選、ここまで考えたりしたのは久しぶりだったし、なんなら今後の市政も今までよりはいくらか注目するかもしれない。とはいえ、自分の目の前の生活、食い扶持、精神状態、それが一番であって、それに悪影響がなければいいなと思うばかりである。
以上。