穂村弘『蚊がいる』を読む

 

またまたほむほむの本を読んだ。この本のブックデザインは横尾忠則だ。

穂村弘がどのような人なのか、おれはどのような本を読んできたのか。面倒なので、横だか下だかにある検索ボックスに打ち込んでください。

ただ、人からはこう思われていたようだ。

 初対面の人に「穂村弘です」と名乗ると「ああ、あのベッドで菓子パンを食べる……」と云われることがある。最初は嬉しかった。僕が書いたものを読んでくれているんだ、と思って。でも、何度も続くうちに不安になってくる。おかしい。他にもいろいろやっているのに、どうして「ベッドで菓子パン」の件だけが世間に広まっているんだろう。

 まさか、と不安になる。これが僕の代表作になったりしないだろうな。

―「存在の逆転」

そして、「パンに具を挟んで食べた人」として名を残したサンドイッチ伯爵の例をあげる。さらに現代のこんなものを見つけてしまう。

 

と、思っていたら、凄いのを見つけてしまった。ウェイン・ルーニーというサッカー選手(香川真司のチームメイトでもある)について、インターネットで調べていたときのこと、ウィキペディアの目次がこうなっていた。

・経歴

・植毛について

・人物

・個人成績

・獲得タイトル

・脚注

・外部リンク

 他の項目はわかる。でも「植毛について」ってなんなんだ。

ルーニーの外見上の特徴の一つとして、頭髪の薄さが挙げられる」

「2011年6月にロンドンの有名医院にて植毛手術を行ったことをTwitterにて報告。植毛を行った理由について『25歳でハゲるつもりはなかったから』と語った」

 がーん。サッカーに何の関係もないよ。しかも「人物」よりも「植毛」の方が上位にくるなんて。冒涜的な存在の逆転じゃないか。

―「存在の逆転」

これには笑った。でも、ルーニーWikipedia、今はどうなっているんだろうか。

ウェイン・ルーニー - Wikipedia

ルーニー、監督になっていたのか。それはともかく、よかったルーニー、「植毛」という項目はなくなっている。

が、「人物」の項目の一番最後にしっかりと上記の記述は残っている。とはいえ、メッシに「1世代に1人しか生まれないような選手」「他の選手と比べようがないほどに素晴らしい」「特別な選手というのはたくさんいるが、ルーニーには抜きん出た質の高さとテクニックがある」「僕が対戦した選手の中でも抜群の運動量を誇っている強い選手だ」と評されたとか、サッカーの業績がたくさん書かれているので安心だ。

 

あと、ルーニーの話のほかに「それだよな」と思ったこと。いや、穂村弘の対世界への違和感のようなもの(おそらくはメーンの話になるが)を除いて。

 苦手な言葉というものがある。例えば「意思」と「意志」。私の頭の中ではこの二つがごちゃごちゃになってしまって、ちゃんと使い分けることができないのだ。

―「意志」と意思」

おれ、「意志」と「意思」はそれほど苦手ではない。だが、その次に怪しいと書いている「志向」と「指向」。これについては、おれも苦手だ。「嗜好」となれば区別がつくが、あれ、どっちだったっけと迷うことがある。

同音異義語とはずれるが、「性的指向」をきちんと使えているか不安になることもある。そっけないタイトルだが法務省人権擁護局のサイトにはこうある。

LGBT

性的指向とは、どのような性別の人を好きになるか、ということです。
これは自分の意志で選び取るというより、多くの場合思春期の頃に「気付く」ものです。

指向だから、対象を指し示すもの。一方で性自認は自分の性について。うん。

けど、「自分の意志」なのか。なんとなく「意思」のような気もするけど、やっぱりおれも「意思」と「意志」、よくわかってないかもしれない。「選び取る」というところの積極性にかかっているので「意志」なのかな。まあいいや、ともかく「性的指向」と「性的嗜好」を間違えないように生きていこう。

 

以上。

 

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穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』を読む - 関内関外日記

……一冊だけ、一番へんてこなやつにリンク貼っておこう。