底辺ウェブサイト制作の話

はてなユーザーには富裕層の高等なエンジニアなどのIT系人材が多いだろうから、このエントリーは嘲笑され、罵倒され、ともかくボロクソに言われるだろう。あざ笑いと怒りの対象だろう。

まあ、構わないので書く。おれはそういうことに構ったことはない。

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インターネットの黎明期、のちょっと後くらいの話。「おたく、うちのパンフレットとか作ってもらってるけど、ついでにインターネットとかいうやつの、ホームページとかいうのも作れる?」みたいな話があった。それで、「ええ、できまっせ」ということになったりした。

そういう時代もあったのだ。

そこで、「できまっせ」といって、すごく高い金を出して、当時は希少価値があった「ホームページ制作会社」に頼んだりした。あるいは、ずぶの素人みたいなのが、素人向けのHTML解説本を見ながら、GoLiveとか使って、それらしいなにかを作ったりした。

そういう時代もあったのだ。

我社はその前者であったり、後者であったりした。おれは後者の当事者であったりもした。だんだん、後者が増えてきたりした。まだまだ「ホームページ」はおまけ的なものだったので、おまけ的な値段で引き受けてきた。

……それがずいぶん長く続いた。時代は変わった。なのに、「おまけ的な値段」は変わらなかった。そのくらいの相場でやってきた。おれはちまちまとやってきた。

もちろん、ゼロからできるわけでもない。外部スタッフを頼るようになった。といっても、「希少で高い専門の制作会社」ではなかった。どんどん増えてきたフリーランスの人である。最初の人はどこで知り合ったか知らない。打ち合わせのとき、うちが受けている金額をちらっと見られ、それからそれと同じくらいの金額を見積もってきたので縁が切れた。べつにこちらも指し値で依頼していたわけではなく、あくまで要件を出して、出てきた向こうの見積もりにのせてきたので、それは単なる不一致ともいえた。そして、それほどうちが暴利を貪っていたわけでもない。これは仕方ないことだった。彼は彼で元請けとして仕事を取ればいいだろう。

次の人はどこで知り合ったのか。まるで覚えていない。フリーランスの人だった。本業は芸能系の仕事をしていて、そちらで、そこそこ名の売れた人だった。CDを出し、ローカルのテレビ番組に出るくらいには。副業のウェブサイト制作でも、とても頼りになったし、関係は良好だったと思う。が、本業の方が「あれあれ?」となって(そういうことはウェブサイトから情報を得られるくらいの時代にはなっていた)、そうなったら、こちらの仕事もだんだんできなくなってきて、メールの返事も遅くなって、最後は向こうから連絡を断つように消えてしまった。大変に、困った。

その次の人はどこで見つけたのか。これは覚えている。おれがMovable Typeのある修正(もちろん最初から作ったわけではない)にたいへん困って、Webを検索していたら、おれの抱えている問題についてど真ん中の答えを書いているブログを見つけたのだ。答えとはいえ、それをおれがやるには無理があったので、思い切ってそのブログ主にメールで問い合わせをしてみたのだ。ウェブ制作業者だった。業者とはいえ、問い合わせてやり取りしてみたら、個人事業主の方だった。この方は、たいへんに優秀だった。おれに優秀かどうかわかるかどうかという話もあるが、とにかく頼りになった。WordPressなども手掛けていて、なんというのか、あの、システムエンジニア? プログラマー? ともかくコード? も書ける人だった。そして、低価格で引き受けてくれた。あらためていうが、こちらは相場を知らないので、指し値ではない。要件を伝えて、出てきた見積もりに応じて仕事を頼んできた。身元というとなんだけれど、実際に会って、信用できる人と思ったので、クライアントのサーバにもガンガン入ってもらっていろいろな作業してもらったりした。

この方とは、関係が良好だった。が、個人事業主から、企業に就職された。就職しても、副業として個人の仕事は続けるとのことだったが、時間に制限ができるし、大きな案件はできないとのことだった。そして、「今まで個人でやってきてわからなかったけれど、企業が請ける案件の金額の違いに驚きました!」と伝えてきた。ええ、やっぱり企業は高いのかい、と思った。

でもって、今、だ。その頼りにしていた人は、時間的、内容量的な制限ができてしまった。今でも自社サイトその他、ちょくちょくお願いをしている。でも、やはり制限があって、全面的に頼ることができない。

では別のフリーランスの人を、といっても、初見のフリーランスの人をどこまで信用できるのか、という問題が出てくる。クライアント、それも公的機関のサーバに入ってもらえるくらいの信用ができるのか。二人目の例から、おれは怖くなってしまった。というか、そういう例がなくても、いろいろ怖いのだ。

それでも、ぽつぽつと依頼はある。もう、ウェブサイト制作は表に出していないのに、「ホームページも作れる?」という話が出てくる。今まで作ってきたところも、「リニューアル、できる?」ということになる。

というわけで、おれはちゃんとした(?)企業に見積もりを出すことにした。歴史があり、公的機関の公式サイトをやっている会社だ。実績から、ここなら信頼できると思った。要件にあった、JIS X 8341-3:2016準拠にも実績があるという。予算取りの、概算の見積もりを頼まれたので、そちらに概算をお願いしてみてた。WordPress利用、デザインもおまかせ、サーバやドメインの移管もお願い、その他、ページ数は現行サイトと同内容くらいとか、いろいろ。そういう内容。

予算取りの概算、なのに、細かく内容をヒアリングしてくれた(まだ細かい内容が決まっていないのだけれど)。「まだちょっとわからんので多めに想定してください」と言った。そして、出てきた金額にビビった。一桁違うじゃん。でも、これが相場だったのか。そう思った。なるほど、これが相場なのか。フリーランスの人とは、信用の差なのか。いや、信用を求めていたのはこちらなのだけれど。

「この金額、クライアントはビビるだろうな」と思って、概算の見積もりを出した。クライアントとの打ち合わせ、企画構成、画像、テキストその他のデータ作成などはこちらがやるので、丸投げというわけではない。というわけで、うちはうちで仕事があるので、それなりに乗せなければならない。けっこうな額だ。うちみたいな零細にはけっこうな額。フリーランスの方に頼んできたときとは、桁が違う。

でもって、さらにべつのクライアントから、4つも新規サイト制作の話がきた。長く付き合っているクライアントであって、うちの「おまけ値段」、「フリーランスに依頼値段」で引き受けてきて長い。先の信頼できそうな会社にまた見積もりを頼むことになるだろうが、そうなったら今までの金額との差に腰を抜かすかもしれない。ただ、こちらも、こちらの事情がある。

とはいえ、先方の予算規模も知っているので、桁違いは厳しいかなとも思う。思うので、やはりまたフリーランスの方に頼もうかという気にもなっている。幸いにも、こちらはCMSを使わないという依頼だ。ウェブアクセシビリティの指定もない。レスポンシブル・デザインであればいい。更新要素はGoogleのブログでも使えばいい。クライアントのサーバに入ってもらう必要はない。おれがデータを受け取って、アップすればいいだけだ。だから、新しいフリーランスの人を探そうかとも思う。思うけれど、まだ詳細が決まっていない。詳細が決まっていないのに、ランサーズとかのサイトを利用できるのだろうか。概算も概算で。そのあたりはわからんので、あとで調べる。

あとは、個人事業主らしき人のサイトを探してみる、か。今どき、ネットの仕事で地域という話もないだろうが、なんかあったら面通しをできる距離の人がいい。古い考え方だろう。でも、安心感というものがある。いや、前にも一度探したことあるんだけど、なかなか皆さん忙しそうで。そのときは、パートナーを探しているという旨で、具体的な仕事があったわけではなかったのだけれど(いや、口実としてあったのだけれど、WordPressの微細な修正。結局自分でやった)。コロナとかあって、今も忙しいのかな。いや、指し値で依頼したことはないのだけれど。どうなんだろうね。ウェブサイト作る人、フリーランスで技術のある人、それなりに安い人、探すのは無理かね。無茶かね。いいものにはまっとうな費用を払うべきなんだろうけど、あくまで指し値でなく、見積もってもらって、安い人はいないのかね。「なんか、おれできそう」という人がいたら、連絡してくれよな。いや、ないか、連絡。

困ったな。おれはHTMLとCSSJavaScriptPHPを多少いじれるが、いじれるのであってゼロから作ることができんのだ。本業じゃない。基礎の枠だけ作って貰えれば、あとはおれがやってもいいのだが、基礎だけじゃ仕事としておいしくないよな。引き受けてもらえないよな。ほんと、困ったもんだ。困ったもんなのは、こんな程度でウェブの仕事を頼まれてしまう、ゴミみたいな零細企業のうちであることはわかっているのだけれど……。