K-1 WORLD MAX 2024が意外におもしろかった話

春分の日、休日、年度末も落ち着きをみせてきて、休日出勤するほどでもないので休日。昼ごろまで寝る。見たい映画があったなと思って、時間をチェック。ちょうどいい。土日なら競馬とかぶって見られない。行くか、と思って、レトルトカレー食って、シャワー浴びる。シャワー浴びていたら、とつぜん調子が悪くなった。これを抑うつと呼んでいいのか、強い倦怠感と呼んでいいのか正確なところはしらないが、身体が動かなくなる。「それでも、服を着てしまえば映画に行けるかな?」と思い、外出用の服を着てみるも、やはりどうにも身体が動く感じがしない。無駄にアパートから映画館までの経路の時間など見たりして、まだ間に合うんだけど、もう無理だってなって部屋着に着替えてベッドに戻った。

そのまま眠ったり、起きたり、とにかく動けないまま時間だけが過ぎていった。ふと目がさめたタイミングで、「せめてiPhoneでなんか動画ぐらいは見よう」と思う。ABEMAで将棋でも……。

と、アプリを立ち上げたら、なんかK-1やってる。

 

K-1 WORLD MAX 2024 | K-1 OFFICIAL SITE | 格闘技イベント

 

おれとK-1、K-1とおれ。かつて、K-1はブームだった。そのブームの最初のころからおれはK-1が好きだった。とはいえ、現地観戦するとか、格闘技雑誌を買うまでではなかった。テレビの中継は欠かさず見たが、それだけだった。ミーハーファンというやつである。

その後、いろいろあってK-1も格闘技も一時期の異常な熱気を失った。地上波テレビからも消えた。消えて残念に思ったが、現地観戦しようというほどでもなかった。それだけだった。

というわけで、おれはすごい昔のK-1ちょっと知ってるおじさんになった。キックボクシング業界がどうなっているとか、どんな選手が活躍しているかとかほとんど知らなかった。せいぜい那須川天心の名前を見ていたくらいだ。

 

でも、なんかK-1見てみるかと思った。なんかRISEとの対抗戦というのをやっていた。やっていたが、眠気に襲われて眠りこけてしまった。しばらくすると、iPhoneから演説みたいな声が流れてきた。K-1配信終わったのか? と、思ったら、石井館長がなんか語っているのだ。話が長い。キックボクシングを一つのスポーツとしてオリンピックでどうこうとか、世界一を決める大会を日本で、とか、なんとか。はっきりいって会場が盛り上がっている感じはしなかった。

 

そのあと、K-1 WORLD MAXのトーナメント一回戦がはじまる。70kg級。いろんな国のいろんな選手の紹介が流れる。名前が「デング」だからって、ウイルスとかモスキートとかっていいのかよ、とか、その雑さは嫌いじゃない。

 

むろん、おれは誰一人知らない。現王者の中国人も知らなければ、元王者の日本人も知らない。でも、もうこんなにたくさん出てくるんだから、みんな知ってるわけでもないだろうし、べつに知らんでもいいか、と思った。どうせ無料配信だし。あ、今はもうネットで世界中の情報が簡単に得られるようになっているので、格闘技好きには「本当に無名の強豪」みたいなのはいないらしいです。

 

で、久しぶりにK-1見たわけだ。これがなんだ、意外におもしろかった。なんだろうね、やっぱり人が殴り合ったり、蹴り合ったりしているのを見るのはおもしろいね。それになんかね、70kg級なのに190cmあるブラジル人とかね。さっきのデングさんね。あと、解説の武田が「これは本物ですよ」と優勝候補扱いされていたムエタイ選手が、どうもK-1ルールに対応できないまま負けたり(相手は950gオーバーの計量失敗で、グローブの大きさと減点あり開始という条件だった)、けっこう名前の知れているストーヤンという選手が番狂わせで負けたり。

 

あと、あれだな、元ボクサーでキック初戦の日本人選手。これがバックハンドブローでKO負けするんだけど、それも二発目で、しかもなんかこう、普通、奇襲とか一発逆転のイメージのあるバックハンドブローが、狙いすましたように、きれいに入ったんだよ。いや、もう狙ってたな。え、こんなの初めてみた、くらいにきれいに入った。ボクサーはローキックに弱いとかあるけど、バックハンドブローも苦手なのかもしれない。

 

女子のタイトルマッチもあった。チャンピオンはギリシャ人で、日本人選手が挑む。手足の長さが違う。これは厳しいのでは? と思ったが、うまいこと距離を詰めて連打。解説は戦略勝ち、作戦勝ちというが、まあ見事だった。

 

現役王者が出てきた。オウヤン・フェンという中国人。あ、なんかK-1は中国人選手もみんなカタカナ表記なんな。で、漢字でどう書くのかいま調べてみたけどようわからんかった。あ、そんで強いです。思えば大昔、中国から「散打チャンピオン」とか来てて結果残せなかったけど、すごい進化してんのな。

 

というのも、MAXではなくクルーザー級のタイトルマッチというのがあって、リュウ・ツァーという選手、これも強い。しかし、相手のシナ・カリミアンという選手はヒール扱いされていたが、実になんかヒールの宿命を背負っているような雰囲気で面白い。まあ後ろから殴られてたけど(解説の言う通り、勝手に後ろ向いたし、あの後ろからレフェリーがストップかけても遅いとは思う)。

 

で、あれだな、最後というか、メーン扱いになるのかな、日本人元王者が出てきたんだけど、これも負けてしまう。日本人全滅。主催者の思惑としては、日本人に残ってもらいたかったのだろう。でも、そういうのがあるからおもしろい。まあ、いまどき、70kgで日本人は体格的に厳しいらしいけど。

 

まあ、そんなで、いろんな国からやってきた、よく知らない人たちが殴ったり蹴ったり殴られたり、蹴られたりするのを見た。ぜんぜん知らない人たちのことを少しは知ることができたし、次の大会が見たいかどうかといえば見たいかな、という気になった。PPVとなったらいくらまで出すかな、という話だ。あまりに高いと思ったら見ないけど。

 

 

で、主催者側はどう考えているのか。

 

【K―1】石井館長が期待する次代の「魔裟斗とブアカーオ」 目立った空席にも言及 | 東スポWEB

特に中盤以降空席が目立った会場についても指摘。その理由を「選手がチケットを売っているので、ごひいきの選手が終わったらお客さんが帰っちゃうんだよね」と、日本人選手が多く出場したRISEとの対抗戦後にトーナメントが組まれた点を挙げた。

 

しかしまあ、確かにお客さん少なそうだなという感じはあったな。しかしまあ、いきなり魔裟斗とブアカーオというわけにもいかないだろう。今回のよく知らない人たちのファイトは面白かったし、そのなかで必ずだれかはチャンピオンになって、とりあえず最強選手ということになるわけだし、キャラなんてものはあとからついてくる。大昔のK-1には人気の外国人選手が何人もいた。べつに日本人に限らなくてもいいだろう。

 

まあ、でも、しかし、おれもたまたま将棋を見ようとして存在に気づいたくらいの配信。地上波で盛り上がれた時代とも違う。そのうえ、ちゃんと格闘技を見ているファンは、本当の世界のレベルを知っているのだろうから、「このていどの選手ではおもしろくない」と思ってしまうかもしれない。いろいろと難しい時代だ。