マリンタワーへ行った

goldhead2004-10-02

氷川丸マリンタワー、赤字続きで身売り話
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20040825sb01.htm

 無くなる前にマリンタワーに行こう、とマリンタワーへ行った。大船の松竹映画村など、いつでも行けると思っていたら、永遠に行けなくなってしまうってのは往々にしてある。花發多風雨/ 人生足別離。
 そんなわけで良く晴れた土曜日に、歩いてマリンタワーまで。近くには背の高いマンションなども多く、かなり近づかないとタワーの姿は見えない。そして、パッと出てきたマリンタワーは……高い。……怖い。そう、自分はかなり重度の高所恐怖症なのだ。しかし、こうやって目の前にタワーを見るまで、一切そんなこと考えてなかったのだから、重度の阿呆だ。以前、新しい江の島の展望台に行ったときも同じだった。目の前にするまで、全然高さに対する想像が働かない。手には早くも汗が。
 タワーに登るには金が掛かる。大人七百円。これは高いと思う。登ろうと思って来た人なら出さないこともないだろうが、たまたま山下公園に来た人が、ついでに登ろうと思うだろうか。けど、帰りに気づいたのだけど、旗持ったガイドに連れられた団体客が来るんだよな。団体割引あるだろうけど、そこらへん狙いなのかもしれない。
 一階で入場券を買い(有人窓口一つと、自販機二台)、二階からエレベーターに乗るしくみ。エレベーターはもちろん、外が見えるタイプだ。俺はこういうエレベーターを考案したクソ野郎をぶち殺したいと常に願っている。Here comes the world of shit! もう、エレベーターに乗り込んだ瞬間から噴き出る汗、当然外なんか見られない。目をつぶったり、真下を見たりしてなんとか気をそらす。えらく長い時間に感じる。ようやく辿り着く。数歩歩いて、へたへたと膝をついて四つん這いになる。深呼吸して落ち着くどころか、過呼吸気味で頭がクラクラする。
 何とか回復して(床が外側に向かって傾斜している、スライドするように揺れているなどの妄言は最後まで収まらず)、ようやくあたりをチェック。展望台が二フロアで、自分ら以外にお客は数組の夫婦かカップル。閑散としている。ジュースの自販機は稼動してるけど、ソフトクリーム・コーナーに店員の姿はない。窓から見える景色はさすがに良いのだけど、例えば見える建物や山を紹介した写真なども古め。
 古いといえば、百円投入する望遠鏡も年代物っぽい。もちろん見ないわけにはいかない。まず真下を見れば、山下公園で撮影をしている新郎新婦や、釣りをしてるオッサン、正面を見ればみなとみらいの観覧車。あ、一人かと思ったら、くっついてるカップルじゃん、何やってんだよ、で、時間切れ。他に、「みんなで楽しめるよ」と勝手にしゃべり出すモニタ形の望遠鏡などもあった。
 しばらくすると景色眺めるのにも飽きてくるが、七百円の元は取らなきゃと、窓沿いのテーブルに陣取って、ジュース(百五十円)を飲んだりする。人がゴミクズのように見える高さにいると、優雅な気分になってくるね。しまいには、スポーツ新聞を取りだして、翌日のスプリンターズステークスの予想したりした。「イチローが話題だから、1−6か背番号の1−5で決まりじゃねぇの?」など。
 まあ、いい加減に飽きたので下界へ。有視界エレベーターは、下りの時の方が怖くない。行きは普通のサラリーマン的おっさんがエレベーター・ボーイだったけど、帰りは如何にもオネーチャンだった。下りた先はなんか鳥と遊べる動物園みたいな階。金が掛かるのでパス。けど、その階の一角にも「レトロゲーム・コーナー」と銘打ったゲーセンが。一部レトロゲー(復刻)があるけど、最近のが半数くらい。で、展望台へのチケットで入れる北原照久の動くオモチャ博物館(後述)へ寄って帰った。
 タワーから出る途中、農協ツアーみたいな一団とすれ違ったけど、今どきこういう一団もみなとみらいの方へ行くもんな。このタワー、場所自体が取り残されてしまったのだ。これはもう、中身の努力じゃどうにもならないだろう。展望自体の価値だけを残して、なんとかやっていってほしいものだが。あと、この独特の廃墟感を味わうなら今しかないと思う。その点はオススメだ。