聖夜までの切符

 「毎日歩いて関内まで通う」。それは、黎明期のカープが財政難に喘ぎ、ついに汽車代が出なくなり、甲子園で行われる野球大会まで徒歩で行こうとしたのと同じ決意であった。しかし、ありがたいことに救援金が入った。一万円。これで三ヶ月分の定期代が出る。いや、一ヶ月という選択肢があった。迷わずそちらを選び、残りは週末の競馬……いや、食費などにまわそう。当たり馬券もいくらかある。
 そうだ、お釣りで樋口一葉五千円札をゲットしたのだ。残りは新一万円札。こちらはお釣りでは出てこない。払い戻し機から束になって出てくるのに期待しようか。