金曜・土曜・日曜と、風邪でダウンした。ダウンしてテレビばかり見ていたように思う。いくつか気になった番組についてメモ。
- ◆音のソノリティ
- チャンネルをちゃかちゃか変えていると、除雪車がただひたすら雪かきする映像。音もただその音だけ。思わず見入ってしまった。番組表を確認すると日本テレビ。一瞬、教育テレビかと思ったけど、これ、五分番組だったのだ。調べたら立派なサイト(http://www.ntv.co.jp/oto/)もあった『音のソノリティ』。なにかとごちゃごちゃ騷がしいテレビにあって、これは一服の清涼剤であった。こんな風な静かな番組にもっと価値を見いだせば……などというのは、それこそ何十年前から言われていることであろうし、何度も何度も通り過ぎてきたことに違いない。しかし、この番組、せめて週に一度ではなく一日一度になってもいいんじゃないかとは思う。
- ◆時効警察
- だいたいドラマの第一回など見逃すタイプで、これに関しても二回目の途中から見た俺。これ、なんだか面白いじゃないですか。主演のオダギリジョーは贔屓の役者さんなのだけれど、いや、なんか地味な感じでとてもいい。それに、この回は犯人(?)役の池脇千鶴もよかった。俺が池脇千鶴という顔と名前をはっきり知ったのは映画の『ジョゼ』(id:goldhead:20051011#p1)だったけれど、俺の中ではすっかり個性派女優という感じである。このドラマでも、なんだか影のある雰囲気があって何とも。あと、ドラマ全体で言えば、おかしなギミックやキャラに対する抑制が効いていて、その塩梅もいい、みたいな。『TRICK』や『ケイゾク』みたいなけれん全開なのも好きだけど。
- ◆スタ☆メン
- 太田光先生大いに語るこの番組。今週はもちろんライブドアショックが冒頭の話題。太田はこのような事を言ったのだと思う。「株券を買うということは、その人自身の思想や考え方を買うことであるべきだ。それがホリエモンの提示した世界観に対抗する術だ」。そして、堀江貴文という人間は事件の後先で何も変わっていないのだから、ライブドア(の株)を買っていた人は売るべきではない、と。それに対して「ライブドアを買っていたのではなく、ライブドアの株価、数値を買っていただけだ」とツッコミが入ると、それは投資の一部のマネーゲーム部分にすぎない、と。ああいうトークなのでなにやら伝わりにくい部分もあったが、俺にはぴんと来るところがあった。それは、「株券」を「馬券」に置き換えれば一目瞭然、寺山修司じゃないのか、と。手許に無いから正確な引用はできないが、「馬券を買うことは自分自身を買うことだ」というのが寺山の馬券観。すなわち、太田は個々人内の世界観から株式市場まで一気通貫の世界モデルを提示したのではなかろうか。……などというのは、松岡正剛が『知の編集工学』で示した「情報文化技術のハイブリッド・ループ」の構造図(P.123)などを思い浮かべた次第である。ところで、ライブドアに対して太田の言う意味での本来の投資をしていた人もいるようで、大損をしてもサポートの心は捨てないと述べる人もいる。対象は誤りであったと言うしかないが、これは自分を買って責任を取る潔い姿と言えるかもしれない。
- ◆しりとり竜王戦
- 何度も引用するが、天才型と秀才型のフリップ芸(id:goldhead:20060106#p2)があるという。その秀才型の代表格とされる板尾創路と、内P一派の代表格であるさまぁ〜ずがここで激突するのだから、思わず夜更かししてしまった。この日はゲストに内村光良で、映画『ピーナッツ』の宣伝もかねているため、板尾にはアウェー状態。しかし、内村は板尾を高く買っているようだ。いずれこの番組で松本人志vs内村光良なんて贅沢なものが実現したら楽しいのだろうけど。とはいえ、このしりとりは当たり外れが大きいというか、うまく回らないとかなり冷めたままになる危険性があって、やはり深夜にひっそりやるのがいいのかもしれない。さて、この日は板尾がさまぁ〜ずを相次いで撃破して優勝。しかしなんだ、板尾のシリアス顔はやはり「言い方やん」なのであって、やはり芸人は全身芸人の天才に他ならないのも確かなのであった。
- ◆やりすぎコージー
- 板尾と同じダウンタウン一派であろう今田、東野。この番組が別の一派を名乗っていたのがこの番組。曰く「笑福亭鶴瓶一派」だと。それは、喫茶店でのしゃべりをそのまま放送に乗せる流儀(とかいうたいそうなものでもないが)だという。というわけで、この日の放送はやたら長く、歯止めがかからず、そして面白いオープニングトーク特集。今田が秋葉原でだだ滑りした話(‘伝家の宝刀イベント前のハプニング’が滑ったのは、秋葉原においてキャラクターについて「強そうなロボット」という言葉を使ったからではないかと想像する)や、東野が娘と今田の関係を心配する話(六歳の娘を今田に預けるのに「万が一」を心配したという。すわロリコン疑惑かと思いきや、「お前ロリータ・コンプレックスやもんな」と名指しされたのは千原ジュニアであった)、今田ゲイ疑惑が盛り上がらない話(そんな疑惑初めて知った……)など盛りだくさん。ここらあたりは深夜の強みというか面白みだ。
- ◆ガキの使い
- 最後に一派の領袖であるダウンタウンの番組。この日は対決物が先頭にあったが、面白かったのは後半フリートーク。松本が自宅マンションのオートロック方式の駐車場に閉じこめられて、最終的に警察を呼んだという話である。駐車場の車に忘れ物を取りに行く際、部屋(駐車場出入り口兼用)と車のキー両方を忘れたために陥った事態で、なるほどこれはどうしようもない。とはいえ、これは欠陥マンションではないけれど、構造にも問題があるような気もする。この松本の件ではキーの二重忘れだったが、なんかこう、車が燃えて、車の中にキーが、みたいな場合やばそう、とか。こう、やはりフールプルーフとかいうのか、そういうものは必要だなあ、とか。あと、警察沙汰で大事になったのに、この話が報道などされたとは聞かない。世の中そんなに悪い人ばかりではないということかもしれない。あるいは、ダウンタウンDXに何通かメールが来ているかもしれないが。「マンションの駐車場で助けを求める松本さんを見ました」みたいな。