肉うどんとライス

 関内を支配しているのは何だと思いますか? 答えはゼンショーである。すき家なか卯をこれ見よがしに並べているのである。これは恐ろしい話ですよ?
 というわけで、めっぽうすき家派の俺だけれども、たまにはなか卯を選ぶ。こんな寒い日には、うどんの温かさが身に染みるのではないかということですよ。
 しかし、男一人うどん一杯、少し物足りないのは否めない。丼一杯の威力はない。ハラペコちゃんの俺がすき家をチョイスするのはそのあたりなのである。だからといって、何も手だてがないわけではない。
 俺は食券機械に千円札を突っ込む。「肉うどん」。さらに点灯を続けるボタン、一番右下にあるのを押す。「ごはん」。肉うどんとごはん。うどんの温かさと丼のボリューム、紅ショウガを使って疑似牛丼、どうですか、ここに人類の叡智がある、創造がある。
 ここで注意しなきゃいけないのは、ついつい欲が出て、「牛丼(ミニ)」などを押してしまうこと。こうすると、いざ品物が並んだとき、「しまった、牛がかぶったな」と、『孤独のグルメ』の主人公みたいなことを心の中でつぶやかなければいけない。
 ……いや、炭水化物がかぶっているのだけれど。
 俺は昔から、「ラーメンライス」的な……、

 ……って、四年前にもはや似たような内容のことを書いていて絶望する。たぶん四年後も同じだろうし、四十年後にもし生きていても同じだろう(その頃はもう、人間カプセル錠剤だけで生きてるかもしらんが)。

 そうか、「どっちの料理ショー」で俺はラーメンライスに目覚めたのか。いや、しかし、本当に。

  • http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20080118#p3……『孤独のグルメ』の感想。自分にとってこれは、自分の知っている世界を見せてくれる世界だ。むろん、主人公の内面世界だ。世の中の人、そこらで飯を食うたび、一大叙情詩がそれぞれの人の頭の中で繰り広げられているんですよ、たぶん。