R-1ぐらんぷりの感想、あるいはピン芸に神は降りてこないのか?

 ※R-1グランプリではなく、ぐらんぷり、なのね。

俺の採点とメモ

名前 ネタ 俺の採点
夙川アトム 赤ずきん どーん フリップ 85
岸学 バウアー隣の晩御飯 82
バカリズム 都道府県の持ち方 フリップ 84
エハラマサヒロ シンガー マクドナルド 大塚美容整形外科 歌いい かおでかい 85
サイクロンZ ダンス よくできてる が 80
鳥居みゆき 慣れている 江川お互いさま 88
鬼頭真也 オラ ラサール 営業 85
COWCOW山田與志 ごるご フリップ 87
あべこうじ ずぶ濡れの犬 あるある 91
中山功太 あるある時報 つっこみ ボケ 逆順 失敗は許されないストイックさ 92

[rakuten:sake-beans:362900:image:left] ……以上、俺がビーフィーターダイエーの炭酸水と五個で百円のレモンを絞って作った何かを飲みながら見たR-1の感想である。ケータイで打ってメールで送った。で、ジンなど飲むのは久々なので、あまりにいい気分になり、気づいていたら寝ていた上に、無茶苦茶頭が痛くなり、カウカウの山田以降は今朝の視聴。ちなみに、昨夜も録画したものを九時頃から見ていた。敗者復活戦は、人の家で話しながら横目に見ていた。
 で、感想なのだけれども、なんというか、すげー腹抱えて笑うというような、そういうところはなかった。ただ、みんな非常によく作り込まれていて(鳥居みゆきすら)、しっかりしたもん見せてくれたという、そういうところ。だから、点数も冒頭の夙川アトムを85にして、ほとんどブレがないというところ。

各芸人感想

 夙川アトムのネタは何回目か。なぜか、案外、テレビをあまり見ない自分でも、ピン芸人のネタの方をよく見ているような。この夙川の、「どーん」ってのは好き。マチャアキが「昔のバンド用語」などと言うあたりに、日本芸能界の歴史を見た。というか、「ツェー万」とか言われて、なんだかわからんが業界用語というあたり通じるのがおもしろいとも。
 岸学は、俺が「24を観ていない」客であって、でもまあなんというか通じるといってはなんだけれども、そこで繰り広げられているものはおもしろいにしても、「やっぱり元を知らないとな」というひっかかりは感じるので、やや減点。
 バカリズムのフリップ芸は面白いし、都道府県の持ち方であそこまで展開するかと。
 エハラマサヒロの「まーくどなぁるど♪」は何度も見ているが、なんか普通に聴きほれてしまうようなところがある。大塚美容整形外科は初めて見たかな。あと、顔がでかいと思った。
 サイクロンZはダンスと動作と歌詞とを巧みに編み込んだ芸。しかし、自分の好みではない。
 で、鳥居みゆき。一本ネタを見るのは久しぶりだったかどうか、よくできすぎていた。まあ、だんだん見るうちに慣れてくる、というのもあるだろうけれども、いや、作り込まれすぎていた。そういう印象だった。よそ行きという感じがした。これが、とても期待してただけに、すこし残念だった。江川達也に「お互いさま」と言ったのはよかった。うーん、たとえば、昔見たカンニング竹山とのコントのような何かなど、腹筋痛くなったものだったが、ひょっとしてコンビの方がいい? どんなツッコミが必要?
 鬼頭真也は役者さんということで、本の超圧縮紹介芸。オラオラでジョジョネタってどんくらい通じるのか、というようなことを考えさせないスピードで詰め込んできた。ラサール石井の評、「芸人じゃないから営業のこと考えてないよね」というのは、本筋と外れてるけど、「そういう着眼点があるか」と思わせる何かであった。
 COWCOW山田與志は客席との一体感出てるなって感じがした。ピースフルな空気。
 あべこうじ。小道具なしのスタンダップ勝負。これがなんか妙によかったね。逆に新鮮な気もしたね。ネタはあるあるなんだけど、間の作り方というのか、なんというか、客の反応をフィードバックするような、そういうテクニックというか、そういうのよかったね。で、自分的にはその時点での優勝、と。
 最後に中山功太。この人は何度か見ていて、その都度、あまり面白いと思っていないむねをメモしている(2005R-1笑いの原石アメトーークの貧乏金持ち芸人)。というわけで、まあほぼ「家が金持ち」というだけで反感を持つ貧乏人のひがみにまみれた俺は、少々マイナスのバイアス持ちで見るということは避けられない。……のだけれど、ひさびさに見た中山さん、おもしろいじゃないの。こう、その前のあべこうじとは逆に、時報のリズムに乗せてのネタ披露。これは、一発でも滑ったり、空気がおかしなことになったら、なかなかリカバリーしにくい、逆手に取りにくい、そういうもんじゃねえのと。それで、全弾滞りなくぶつけてきたからよかったと。できれば忍者の手裏剣みてえな逸脱もっと見たかったけど、いや、まあちょっとキザに終わらせるところも嫌いじゃない。そのあとのトークもよかったと。トークは採点に入れちゃいけないけど。でも、これなら中山優勝でいいんじゃねえのと、そういう感じ。
 で、結果中山優勝。結果に文句なし、というところでした。おしまい。

ピン芸について

 しかし、今回見ていて思ったのは、ピン芸というものについて。どうも俺は、たとえば「一生、漫才かピン芸のどちらかしか見続けられないとしたらどっち?」というと、やはり漫才を選んでしまう。俺がお笑いに求めているのは、どっかしら全部ぶっこわしてしまうような破壊力であり、逸脱であり、もっと暴力的な、偶発的な、ハプニング的な、笑いの神降りてきた! みたいな、そういうものであって、なんというか、そういう化学反応的な何かが起きやすいのは、一人より二人、複数人(コント、トーク)というような、そういうような気がする。
 言うまでもないが、好みの問題。そしてもちろん、一人でそれを巻き起こせる芸人だっているだろうし、今回の芸人たちの中だって、ときにはそういう舞台もあるはずだ。だが、どうも、今回見るかぎり、技巧というか、仕込みがおおいに勝っているような気もするし、それはひょっとしたらM-1あたりでも見られることかもしれず、もっとぶっ壊せる、エルサレム賞の授賞式でバット振り回したり、泥酔状態でG7の記者会見に臨んだりするような、そんな爆発力、そんなものの出現を期待したいと思う。
 でも、俺が今、一番好きなピン芸人ガリガリガリクソンなんだけれども、それはどう説明できようか。
 あと、関係ないけど、司会の雨上がり決死隊の蛍原を見るに、どうも「ピンドワー」という言葉が浮かんでしょうがなかったのでした、おしまい。


関連______________________