※Amazonでも楽天でもこの映画のDVDひっかからなかったけど、売ってねえの? 俺はDMMのレンタルで借りた。
もう一度 世界の始まりを 宣言する必要があるのか
今日もまた詩人と宗教家は 希望も救済もない ただ積みかさねてきた破壊と殺戮の過ち 人類史を詫び 平和な無為の償いを続けよ と言う
だが そんなものは俺の心に響かなくなってすでに久しい
死んだふりの俺の寝言は 人に焦れて生きる業苦が神を呪い 決してこの世から逃げ出すな と呟く。
どうだ ぴったり来るじゃないか
何故なら ついでに絶望にさめざめと泣いた俺が出てくる
死に損ないの傷跡が鏡に映り 蹴落として殺した恋の魂の群がついてくる
この世 この時代のすべてと心中しようとすれば
人を呪う心地よさは 人ごみの中の眩暈
これが 俺の世界の始まりなんだ
もう一度宣言してみるか
慰めが皮膚に張り付き 呼吸を塞ぐ
どこに行くにも纏いつき 胡散臭さで包み込む
頭の芯をこりこり囓り お前はアホだと決め付ける
そうか 俺の夢は 俺の偽物願望
ああ この息苦しさこの苛立ち
俺が踏みしめているのはこの世の偽物
ここで怒りを一杯にもう一度謳ってみようか
いや 宣言するさ
俺のモデルは テロリスト
全ての馴れ合い常識納得、予定調和のルールの作り笑い、したり顔の偽善
なりすましの仮面
破棄せよ 破棄せよ!
何は無くとも世界平和メロドラマ ご都合主義 鬱陶しい原色ぎたぎたの 流線型 流線型
もういい もういい
全ては 叩き潰せばいい
お前と俺が微かに息づくことは止めよう
それがこの世の始まりの一言だ
いや 待て
それでも いつも何かが足りない
何かが欠けている
……
…
俺は『幽閉者』、『幽閉者』と書いて「テロリスト」とルビをふる、この映画、足立正生の映画を観て、非常にがつんとやられて、映画のラストに読み上げられる、上の台詞を、何回繰り返して聴いたかわからない。
これではかなりやばい、やばい感想を書くと思って、週末をはさんでみたが、やっぱりこれはすごかった。俺は土曜、日曜と、古本屋をまわって、ルイ・オーギュスト・ブランキの『天体による永遠』を探し回って、結局、『革命論集』すら見つけられず、破棄せよ、破棄せよ! と、ぶつぶつと脳内に止まることのないノイズ。流線型! 流線型! 俺は頭に来たから、サントラと『天体による永遠』を注文してしまった。
本は、今朝届いていた。
- 作者: リンディホップスタジオ
- 出版社/メーカー: 愛育社
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 単行本
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ブランキなんて名前は知らなかった。知らない。何が書かれているのかもしらない。知らないけれど、『天体』に話が及ぶのは、俺はSFが好きだから、見逃せない。そして、劇中、引用されているのかなんなのか、ブランキの体験。それは、空海の室戸岬じゃないか! と思った。そして、それは、俺の夢、俺のあの夢じゃないか! と思った。
俺の夢、そしてこれは仏教的な想念、妄想、そうしたら、般若心経が出てきて驚いた。死のう団も出てきて驚いた。土着的、陰鬱なセックス。性と世界、宇宙、天体、世界。天皇と仮面、日本的な。
というわけで、よくわからないが、これを見た直後に、なにか言えと言われれば、「俺は、テロリストになりたいんだ! ずっと、テロリストになりたかったんだ!」などとわめいた、だろう。俺が村上春樹に期待したことと、失望したことと、そのとりつくろい、俺が望んだ、最初のことは、ぶちこわす、テロルだった、そうに違いない、などとわめいた、だろう。右も左もないんだ、なんかぶっこわしてしまえ、そういう破壊の願望、この世の、否定。
……などと、吹き上がったのが、三十の春。三十で、よかった。俺が、十代や、二十代だったら、どうなったかわからない。いや、そうだろうか、俺は、物心ついたときには、醒めていた。俺はすっかり世界に、人間に失望していたし、すっかり、スポイルされていた。いや、そう思いたくて生きてきて、もう、俺はそこに落ちついて、なにか十分な気になって、その上で、吹き上がってるから、まあいいじゃねえか。でも、いざというとき、なぜか俺の手に鉄砲があって、どこかに向かって撃てと言われたら、どこに撃つかわからない。そんな度胸がないとしても、俺はなんかおおばかなことをするかもしれないが、まあそういうことはないだろう。
なんか、俺の中で吹き上がるもの。俺が結局、社会や政治の話にどうもしっくりこないのは、なんだ。たとえば、俺が法律のことを考えるとき、どうしても、法律以前に自由じゃないか、罪は後払いだ、などと思ってしまうのは、法に縛られている感じがしないのは、なんなのだ。ああ、だから俺は、たとえば、国や思想を信じられないというか、そんなに気にしなくなっている。この国に、どんな歴史があるとか、罪があるとか、今、間違ってるとか、間違った法律があるとか、もう、こころの奥底では、どうでもいいと思ってる。俺は、それより先に動けるし、俺はまだ頭の中に小型爆弾を仕込まれちゃいないんだ。憲法も、法律も、だからなんだ。それが誤っているとか、守らなければいけないとか、その実感がない、この小児病的な、小児病的な、ここに小児病というたとえをつかうのは、ポリティカリー・インコレクトネスなのかもしれないから、幼稚な、幼稚な、アナーキズムというか、俺は、国や法や社会に生かされているのに、都合のいいところだけ食おうというコウモリ野郎っぷり、そこが、どうも俺の吹き上がるもとであって、俺は嘘っぱちの、しょうもない野郎であるところなんだ。
それで、なんというか、俺は、そこまで熱心に社会正義や、この国のありかたを正すというところに、どうしても、のめりこめないというか、とくに、そうしようという気が起こらないのも、そういうところであって、また、なおかつ、誰かが、この国を右だか左だか、どっちに持って行こうとしようとも、たとえ何がバカにされようとも、べつに、とくに、それほど、我が身のこととして考えられないのは、そういう距離感があるというか。たとえば、左翼とか、反体制とか言われる人を見ても、なんでそんなに、日本国とか、日本人とかいう枠組みにこだわるのかわからんというか、ピンとこないというか、彼らからすると、自分は愛国心に遠いように思う。
反面、だからといって、俺がどんだけ日本好きかというと、それはもう言い尽くせぬところであって、むしろ、信じているというか、一体すぎて、べつに捨てても放っておいても、まあ日本は日本じゃねえかという、わけのわからない意識があって、別に日本がどんなにけなされようとも、悪し様にいわれようとも、まあ別にどうなるわけでもねえという、開き直りというか、そこんところがある。それを愛国心だとかなんとかいえるならば、俺は立派な愛国者すぎて困るといえる。
もちろん、それは、俺が、俺を、どのような立場におけるかという、選択肢が与えられている、すなわち、国を敵として、日本を敵として、戦わずにはおられない、選択の余地のない人からすれば、おおいなる特権者なのかもしれない。いや、そうなのだ。ただ、だからといって、俺が生きやすかったことなんてないんだよ。それはもう、余裕がもたらす腐敗と言われようが、なにものねだりというか、その逆だと言われようとも、なんだろうとも、俺はなんかろくでもないんだ。人間がきらいだ、人間の集団がきらいだ。人ごみとか、ほんとうに嫌いだ。ろくでもない。
……そういうところまで、ふだん俺は表明しないで、保守的な小市民として、毎日、競馬のことや野球のことや、いや、野球のことは、今、広島が負けているから考えていないんだけれども、あと、それから、エロいこととか考えて生きている。自転車にもっと乗りたいとか、写真をいっぱい撮りたいとか、ほこりをかぶりはじめたペンタブレットをたくさん使おうとか、この春は観たいアニメが多すぎて困るとか、そんなことで手一杯だ。ときには良識的なことも言うけれども、だいたいそれで手一杯だ。手一杯でよかった。
でも、あらためて言うけれど、俺はこのような程度の人間であって、吹き上がったところでたかがしれているんだ。
→
……同僚の兵士たちが敵国の罪なき女子供を陵辱する。それに加わる勇気も止める勇気もなく、関係と思おうにも、それができないのをわかってい。しょうがないので、扉の外を見張るようなそぶりをして、心を閉ざしてタバコを吸っている俺。それを繁みの中から覗くレジスタンスたち。そう、それがまさに反攻の狼煙、最初の標的。真っ先に鉛弾食らってぶっ殺される俺。銃撃戦の中、踏みつけられる俺の死体。
……革命の戦士たちの意気はいよいよ戦いに向けて昂ぶっていた。しかし、その中において、今後組織の邪魔になりそうな人間がいる。いつの間にかついてきたあいつは、口先ばっかりで威勢のいいことを言うが、信念や覚悟が足りない。ああいう薄っぺらい人間が簡単に敵に味方を売る。あるいは、もうスパイかもしれない。……などと目をつけられて、いきなり首を絞められて殺される俺。長い戦いののち、誰か歴史を暴くものがいて、どっかの湖の近くに埋められているのが見つけられる俺の死体。あるいは見つからない俺の死体。
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で、死ぬとき、「あれ、俺どっか間違ってたんだろうか。まあいいや、ピース」とか思うの。
http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20090219/p3
あー、なんか、本当は言っちゃいけないこと言ったような気がする。だけど、まあ、別にこれが俺の本心というには、あまりにも、あれで、まあ、ヤクザ映画観たあとの観客みてえな、そういうところで、ひとつ。
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