新しい鞄、スーパー、ドラッグストア、ウーロンチャイ

おれは昨日、一人で横浜まで出かけて新しい鞄を買うことにした。2泊旅行くらいには耐えられそうなブリーフケースだ。おれのすばらしいドイタートランスアルパインがややくたびれてきているのと、そうとうにアウトドアすぎるからだ。自転車でアルペンを越えるバッグなので当たり前だが。

おれは横浜駅が（西口五番街）以外よくわからず、まず無印良品にたどり着いた。ちょうど1万円くらいの、おれが欲しっていそうな真っ黒なバッグがあった。「これでいいんじゃね？」と思った。手提げにもリュックサックにもなる。黒くてビジネスシーンでも問題なさそうだ（生まれてこのかた宿泊付きの出張というものに出たことは一度もないのだけれど）。とはいえ、せっかくなので、ダイヤモンド地下街のかばん店も見た。高かった。モアーズに入った東急ハンズに行ってみた。やはり高い。が、しかし、ドイツメーカー（メイド・イン・チャイナ）のバッグが気になった。頑丈そうである。おれの愛するドイターもドイツ、こいつもドイツ、鞄はドイツ。いや、一番愛用のTimbuk2はアメリカだが。ただ、値段はさらに上乗せ1万6000円。たくさんあるファスナーを開けたり閉めたりする。中はいろいろ区切られていて、それはそれで機能的なのだろうが、おれの使い方として想定される、一眼レフをぶっこむというのには向いていないような気がする。その点では無印の方がざっくりしていた。おれは一度無印に舞い戻った。

するとどうだろう、「これでいいんじゃね？」と思ったバッグがいかにも安っぽく感じられてしょうがないのである。素材、ファスナーの作り、デザイン、その他いろいろ。不思議なものだ。

おれは決断した。使い勝手が悪くてもいいから、東急ハンズのにしよう、と。そう決めて再びモアーズのハンズへ。その場でQRコードを読み取り会員になり10%オフクーポンをゲット。レジで「在庫があれば展示品でなく新品をお出しします」と言われ、新品ゲット。支払いはカード。

さて驚け、おれは生まれて初めて実店舗でクレジットカードを使った。買うだけの現金は持っていたが、何事かがおれをそうさせた。もちろん、ネット通販でクレジットカードは使いまくっている。キャッシュレスという意味では極力Suicaを使っている。が、リアルの買い物でクレジットカードを使ったことがなかった。（ところでこの船、ちょっと左に傾いてねえ？）

クレジットカードを実店舗で使うことで、金銭感覚が麻痺しないかという恐怖からである。身銭を切る感覚との乖離。ネット通販で番号を打ち込むときの迷い。それらがなく、サインひとつで物品が手に入る。なんかやばいんじゃあないの？

とはいえ、もうそうやって買ってしまったものは買ってしまったものだ。しょうがない。そしておれは、このバッグに一眼レフをぶち込めるか、どのくらい入るか、肩掛け、手持ち、その具合はどうだ？　それを確かめにスーパーへと歩いた。

思っていたよりバッグはでかかった。少し狭そうに見えたところに一眼レフをぶち込んでも、無理はない。ボディソープと歯ブラシと台所用洗剤（詰め替え）を突っ込んでも無理はない。想像以上の収容力だ。

今日のおれはキゲンがいい、新しいバッグに満足しているから。満足しつつサンマルクカフェでウーロンチャイなるものを飲んで（そんなものがこの世にあったとは）、バッグに入れてあった埴谷雄高の本を読んだ。

斜めがけにしているとやや左肩に重みがあるな、とは思ったが、このくらいは我慢できよう。そしてすばらしいブラックラピッド（カメラの斜めがけストラップ）との干渉具合なんかを確かめながら帰った。

ボディソープ、歯ブラシ、台所用洗剤、ピーマン、肉、カップ麺。

おれの10連休のうちの1日はそんなふうに過ぎた。キタサンブラックにも納得できたし、カレンミロティックにも納得できた。3着も納得できた。結果論であって馬券は外した。それでもおれは少しキゲンがいい。ウーロンチャイはいまいちだったけれども。

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BLACKRAPID クロスショット ブラック スリングストラップ RS16SC1O-BL

……すばらしいブラックラピッドもくたびれてきているので、そろそろ買い換えたい。