今からでも行くがいいさ(一日で周るの無理だけど) ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」

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ランドマークタワーの方から横浜美術館の方へ行こうとしたら、亀がいた。

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そして、横浜美術館の外に馬の人がいた。女が「馬の人が外に出されている、かわいそうだ」と言った。馬の人もトリエンナーレともなれば外に追い出されてしまうのだ。ああ、芸術無情。

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アイ・ウェイウェイ「美術館正面の外壁全面を用いたインスタレーション

というわけで、ヨコハマトリエンナーレにやってきました今日もまた。いや、三年ぶりか?

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マップオフィス「アイランド・リゾート」

お前とお前とお前だ、気をつけして並べ、おれもわからんで現代アート。たとえばこれが色覚検査だといっても。

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女が色覚チェックアプリを起動してみたら識別可能じゃないの(いじわるだな)。……と、ここで「美術館でスマホ画面なんて」と思った人へ。このトリエンナーレ、ほとんどが撮影可能で、なおかつiPhoneAndroidでアプリ配ってて、音声ガイドはそっから聞けというシステム。耳にイヤホンして、うろうろ、なにかこれは新しい、と思ったが、おれが年に一回くらいしか美術展なんかに行かないのでよくわからない。ただ、前のトリエンナーレのときはこんなことはなかった。

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ミスター「ごめんなさい」

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ミスター「ごめんなさい」

というわけで、ミスターさんのこんなの。正直に言うと、今回のトリエンナーレで一番落ち着けた。一番いいとか悪いとか、そういうんじゃなくて、おれがアニメまみれで生きているな、と思わされたひとときだった。居心地が、いいのだ。

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プラバワティ・メッパイル(名称不明)

こんなんすげえけど息苦しいぜ。けどなんか日本刀みたいなのでプチプチプチーって斬ったら気持ちよさそう。あと、すごいギターみたいに弾くんだぜ。

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ただの設備

しかしなんだろうね、おれはね、思うんだがね、低能未熟大学文学部美学美術史学科中退のおれが言うんだがね、古代も現代もアートなんてわけわからんでね。それでも「なんかすげえ、なんだかわかんねえもの」を見られる可能性があるってのがよくてね。でも、個人的に勝ち負けはあって、おれが笑ったり、フハッってなったらおれの負けでね、おれが「ふーん、そうなの」とか小難しい解説読んで思ったりしたら、おれの勝ちなの。この勝ち負けの感じは前から持ってたけど、山田芳裕の『へうげもの』読んでますますそう思うようになったね。どんだけ剽げてるかが勝負だ。少なくとも、おれはそういう視点で作品を観ている。著者のバックボーンも現代社会への警鐘も関係ねえ、笑わせてみろ、唸らせてみろ、それだけだ。

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なんか子供たちが自由気ままにやってたけどどこでやってたのかわかんなかった

だからまあ、どっかの誰かが好きにやれ、おれも好きに見る。それだけだ。

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ロブ・プルイット「スタジオ・カレンダー」

そんで、こんなん売ってくれよとか思うカレンダー。毎日毎日に有名人のHBDとRIPが描かれているカレンダー。面白い。ついでに、なんかe-bayに出品してる商品が飾られてるというのもいいが、ここは日本、ヤフオクにしてくれないか。

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アン・サマット「酋長シリーズ」

こんなんもよかったな。熊手がな。なにかしらめでたい。めでたいのはいいことだ。

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アイ・ウェイウェイのやつ

まどからも一つアイ・ウェイウェイのやつ。今回の目玉はこれだろうか? よくわからない。ああ、なんかすげえなあとは思うが、そこまですげえなあとは思わないというか、四番バッターを任せるにはちと弱い。

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ザ・プロペラ。グループ、トゥアン・アンドリュー・グエン「AK47vs.M16」

強い弱いでいうと、冷戦の象徴であるAK47とM16を特殊なジェルブロックのなかで衝突させた……跡。映像でもスーパースローで見られる。どっちが強いかはわからない。

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風間サチコ「僕等は鼻歌で待機する」

ひょうげてたなぁ、というと風間サチコさんか。このほかにもいい感じの木版画があったりした。一番したのやつ、写真切れちゃってるけど、屋上で寝っ転がって漫画読んでるやつがいるのがよかった。

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(ごめんなさい、だれの作品かわからなかった)

観客に参加を促す、というタイプもある。これはロンドンの自爆テロ犯の顔写真の色をブロック化して、好きに積んだりしていいよ、というようなやーつ。なにかこう、やけにバランス感覚のいい人が凄まじい積み木をしていたりして、下手に手を出せない状況が生まれていたりして面白かった。そんなん崩して自分で遊ぶ傾向のある国とない国とかあるんだろか、などと作品と関係ないところに思考が飛んだ。

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ザオ・ザオ「プロジェクト・タクラマカン

タクラマカン砂漠のど真ん中に電線を引いて冷蔵庫持ってって冷たいビールを飲もう企画。この写真は置いてあった電線の断面。新疆ウイグル自治区出身のアーティストによる、民族、政治の抱えたウンタラカンタラはともかくとして、ようやったな、とは思う。あと、同じ作者(の両親?)による「スーツ」もおもしろい。

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マーク・フスティニアーニ「トンネル」

これはもうトンネルやね。『少女終末旅行』やね。でも、裏側みたらそんな奥行きなーい。ちょっと好き。

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オラファー・エリアソン「Greeen Light - アーティスティック・ワークショップ」

なんかカメラ触ったの久々で、緑色の光がうまく撮れなくて、「そうや、シャッタースピードで暗さ調整や」と思って、なんかそれらしく撮れた。そんだけ。というか、カメラ(機能を有するなにか)を持った各人が、それぞれに作品を切り取って、拡散して……というのは、おれはおもしれえと思うのだがどうだろうか。それを芸術への参加だとか、芸術の解放だとかはいいたくないが、なんかわかったような、わからんような顔をして作品を眺めるだけ、というよりいい感じはする。とはいえ、平面の古典的油絵なんかはべつにそう面白くなさそうなので、向き不向きはある。

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(これも多分オラファー・エリアソンだと思うけど勘弁してください)

↑なんか展示の入れ替えとかあったらしいのと、作品群をタイトルにしてるのと、一個一個名前がついてるのがあったりして、ちょっと勘弁して。お願い。

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キャプション

お願い。

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パオラ・ピヴィ「I &I (芸術のために立ち上がらなければ)」

これも目玉みたいになんか広報誌とかに載ってるかな。まあ、立ち上がらなくてもいいけど。

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マウリツィオ・カテラン「無題」

あと、ひょうげてるというと、なんか自分の模型を吊るしてるおっさんがいて面白かっった。「あ、なんかぶら下がっとる!」というだけで笑いがとれる。卑怯なり。でも勝ちだ。

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アイ・ウェイウェイ「He Xie」

同じところから見下ろせば、蟹、蟹、蟹。「調和・強調」という意味と同音異義語でインターネット上の「検閲」という意味があるらしいが、とにかく蟹なので強い。

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ジョコ・アヴィアント「善と悪の境界はひどく縮れている」

そして、横浜美術館の最後にこれ。というか、最初にこれがくるんだけどね。とにかくね、でけえの。これ、竹を編んでんの。竹の、桿(←幹と書かないところで、さり気なくインテリ感をアピール)をよ? 現代美術の「とにかくでけえとすげえ」を体現したような代物で、これ、このまま野毛の山の上の神社か寺に奉納してほしいと思った。以上。

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アフリカのどっかの煮物を挟んだパン

で、美術館出たらアフリカなんとかのイベントやってて、食い物も売ってて、それでアフリカのどっかの煮物を挟んだパンを食べた。なんというかね、あんまり食べたことないからわかんないけど、アフリカの食べ物ってなんというかおとなしいというか、まあ食材難みたいなのもあるだろうけど、見た目に反しておだやかだよな。たぶん。少なくともこいつは主張しなかった。

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道志村の水

そしてなんと、水が。

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会場間無料バス

バスで赤レンガの方へ。ちなみに横浜の市バスは普段から「孤独は人を深める」とか書いてないです。

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小沢剛「帰って来たK.T.O.」(部分)

それで赤レンガ。観客への突き放し感でいうと横浜美術館<赤レンガ。K.T.O.が誰がとか、置いてある紙持って帰って読めばわかる。そんで、この会場(作品)インドのバンド(ビハインド・ザ・ミラー)の曲がずっと流れてて、前半はすげえいいなと思ってて、後半になって急に調子が変わって、別の曲かな? とか思ったらそうでもなく、世界の音楽は奥深いと思った。

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宇治野宗輝「プライウッド新地」

これはなんというか、現代美術的ななにかであって、なんか音とかして、未来派がどうこうというようなもので、いろいろの日常的な機械がその場で音をたてて、その場で映像化されて、非常にノイジーで、それでも白人の客は肩を揺らして軽く踊ってて、「おお」と思った。

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照沼敦朗「ミエテルノゾム」、「ミエナイノゾミ」

これはわりともう圧倒される。作者は視力が弱いとのことだが、なんというか、このプレッシャー、圧、オブセッション、そんでもって、意外にプリティでありつつグロテスク、カラフルでありながら暗い。こいつは面白いよ。

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ドン・ユアン「祖母の家」

解体されてしまう祖母の家にあるものすべてを油彩で細かく描いている……スペース? なんというか、写真にしてしまうと、実物に見えて困る。それはともかくとして、問題は「福」であって、中華街などで見かける「福」は天地逆を向いていて、「倒福」(≒到福)の場合が多いが、この家にある「福」はぜんぶ普通の方向を向いていた。本場中国ではそんなに気にしていないものなのかどうか。

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プロジェクト「Don't Follow the Wind」

東京電力福島第一原発の帰還困難区域内をVRで体感できるというもの。発案者のChim↑Pomのセンスかどうかわからないが、ヘッドセットはみんな変なことになっている。おれはといえばVRというものを体感したことがないので、長い列に並んだ。おれの番が来た。すると、「この機材はメガネを取ってください」というではないか。行列の間に見ていたが、メガネのまま見られるやつもあった。不運だ。そしておれはぼんやりと福島に没入した。例の標語が書かれた看板の前だ。なるほど、どこを向いても映像がある。ただ、ぼんやりしている。そのぼんやりは防護服越しのぼんやりだ、などと納得してもいいのかもしれないが、やはりはっきりVRを……って、そんなのそういう機器を勝って、そういうゲームでもしろ、という話である。

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丸山純子(花)

そんなんで赤レンガをあとにして(オクトーバーフェストですごいいろんなビール飲んでる人たちを横目に見ながら!)、BankARTに来た。ここは正直苦手な雰囲気。なんか花とか咲いてるし。どうやって刺してるんだろ?

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牛島達治(タイトル不明)

あとなんか木製の車輪が太陽電池で回ってたり。

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その装置

ああ、こんときはまだちょっと外、明るいな。

で、なんか二階でやってた日産アートアワードとかいうのの……って、これは写真まずいのかな? わかんないけど、こんなん見て

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韓国のアーティストのなんか描いたのの壁に貼ってあったの

なんかそんなん見たりして。

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作品なのかもしらんが、犬

外出たら暗くなってて。

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横浜市開港記念会館

横浜市開港記念会館の地下の寄って帰ろうとしたら、側面入口よりスタッフの人が「本日は終了しました」の連呼でトリエンナーレ袋持った人を次々に追い払っているところであった。いや、追い払ってるって悪意はないですよ。でも、なんだ、時間わかりにくーい。18:00にはなってなかったと思うけど……あ、この写真のプロパティ見たら17:36。最終入場は17:30とあるから、われわれはギリギリアウト勢だったわけか。

……

………セット券買ったからには、開港記念会館の地下と、黄金町も行くからな(入場は別日程可)。というわけで、本日はここまで。というか、朝10時集合で回ってきて、これ、一日じゃ辛くねえ? どっかしらスルーっとスルーしなきゃ、黄金町までとか無理もいいところだろ。え、そもそも何日にも分けて行くものだっけ。わかんねえや。まあいい。今日はここまで。

 

追記:写真の写真撮ってもしょうがねえなあと思った畠山直哉さんの写真、さすがにグレートで隅から隅間まで完全という感じ。元ハンセン病患者の身体を10Hから10Bまで鉛筆で描いた木下晋さんもすごかった。それと重量挙げのポーランドチームに彫像を持ち上げさせようとしたり、既存の彫像で体操をさせたりするクリスチャン・ヤンコフスキーはかなりひょうげいていた。ラグナル・キャルタンソンは、全然別の部屋にいる人たちが、気ままにセッションしているという音楽で、ピアノの人の持っている妙な楽器か器具を同行者がえらく気にしていたが、なんかわからんうちに普通にピアノに戻ってしまった。音ネタとしてはよいのだけれど、一回の上映が長くて、ずっと浸るならいいけど、そうもいかずというあたり。このあたり、写真には残せないので、一応。

<°)))彡<°)))彡<°)))彡

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