何映画? かよく知らずに借りた。ちなみに、おれが「借りた」のはネットで借りてポストで返却のサービスであって、ネット配信が中心になった今、なぜそんな割高で面倒なサービスを使っているかというと……別の話なのでいずれ書くか。
まあいい、借りたのに見るひまがなかった。ようやく見た。借りて家に届いた前と後で何が違うかといえば、この作品の主要出演者であるピエール瀧が逮捕されてしまったことくらいであろうか。北原里英という女優さん(アイドルとしての活動はまったく知らないです)の次、二番目に名前が出てくるのがピエール瀧、これである。
で、これが「何映画?」というと難しい。作品紹介のサイトなどではスリラーとかになっているようだが、なんとも言えぬ。ネットをやっている人間ならば「ああ、NEVADA事件を元にしているのあ」とはわかるが、かといって事件そのものがメーンではない。メーンとなるのは事件の14年後、だかだ。その犯人だった「サニー」と目される女性が誘拐され……。
で、「何映画?」。おれははっきり言って、そこがいいと思う。少し前に『スリービルボード』の感想でも書いたが、映画というものは(あるいは創作というもの全般といっていいが)、地球を占領しようとする宇宙人が出てこようが、ある路線バスの一日を描いたものであろうが、「何?」と思わせるところがあってこそ、と、おれは思うのだ。その点で、この『サニー/32』は、「なにかわからん」というところで成功している。
監督は白石和彌だ。雪の中や浜辺を俳優に走らせたりなんだり、「おお、若松孝二イズム」と思わせるところがある。メイキング映像のインタビューで曰く「ピエール瀧になぜか鬼畜どんぐりとあだ名をつけられた」という。それに北原里英さんもよく応えたし、門脇麦もよく応えたように思う。むろん、「お前ら鬼畜コンビやな」というピエール瀧とリリー・フランキーも絶妙にハマっている。メイキング映像に入っている、ピエール瀧の「ドロップキックで凍死体を穴に放り込む」シーンなど大笑いである(本編ではカットされた)。ちなみに、リリー・フランキーいわく、「こんな映画のメイキング映像で自分や瀧のコメントを見ているあなたは本当の変態」だそうだ。おれ、変態だったか。
まあいい。なんにせよ、この映画は「何映画?」というところであって、ネットとその犯罪をテーマにした……とか、人間の罪と罰とは……とか、よくわからん暴力はただ面白いな……とか、どっからでも切り取ることができるだろう。存分に「?」マークをつけてもらいたい。だって、おれも「?」なんだもの。そういう映画、好きなんだよ。以上。
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門脇麦は同監督の名作『止められるか、俺たちを』で主演している。
「凶悪」コンビ、また見たいよな。
……で、まだ『孤狼の血』見てないんだけども。