リストランテが炎上した。悲しい。何が悲しいって、みんな金がないことだ。リストランテを訪れた親子にも金がなかったのだろう。コースでなければ採算が取れないというリストランテも金がなかったのだろう。その不幸な出会いでお互いに嫌な思いをして、さらにそのヘイトがネット上をかけめぐる。金がないのがむなしいのだ。それが憎悪を引き起こすのだ。
リストランティーノというのがどのようなものなのか、金がなくてドレスコードが関係するような店で食事をしたことのない貧乏人のおれはしるよしもないが、ディナータイム、単品の注文でも「喜んで!」といって承るほどの金額を設定できないのだろう。高くすると、お客さんが来なくなるから。もし、そうでないとすれば、完全予約制、会員制の店にして、金持ちだけを相手にすればいいだろう。扉が空いてなければ、場違いな人間が入ってくることもないはずだ。そうはできず、空席があれば一見の客を受け入れたいという余裕の無さってものじゃないのか。
あるいは、酒を注文してもらわなければやっていけないという居酒屋なども同じだろう。料理が評判の居酒屋。料理を出して、料理に金を払ってもらって、それでは店に儲けがでない金額設定しかできない。なぜなら、客に金がないから、日本人に金がないから。だから、暗黙のルールというものが存在しているし、貧乏人は怖くてそこらの店にフラっと入ることはできない。ドリンクでしか儲けられないなら、「当店は料理に自信がありますが、ドリンクで生計を立てているので、酒を注文しない貧乏人は私どもを殺すものです」と貼り紙をするべきだ。そうして、貧乏人は外食となれば明朗会計のチェーン店に行けるか行けないかだ。コンビニ、ファストフード。上級国民からすれば、笑いもの。
もう、日本という国に住む大勢の人間は少数の上級国民と、多数の下級国民に分断してしまっている。それは事実として受け止めなければならないし、上級国民は人殺しの顔をして下級国民を見下し、排除し、馬鹿にするべきだし、リストランテの店員もそうするべきだった。御託を並べるな、正直になれ、貧乏人を馬鹿にして見下せ、あるいは、そんなもの存在しないように振る舞ってもいい。リストランテは、金持ち相手に金を儲けているのだろう? その世界の中だけで循環しろ。そして、下級国民はジョーカーめいた狂気と人殺しの顔で上級国民を徹底的にうちのめす隙をうかがうだけだ。
これは息苦しいし、生きにくい国だ。だが、この国の国民は「支払い能力」のみではかられるものであるし、それ以外はなにも評価されない。その唯一の基準でいえば、おれは負け犬でゴミだ。それですべてだ。だが、不幸にもぶっ壊れた脳みそというものもあるし、感情も存在してしまっている。勝ち組にはおもしろくないだろうが、日本語だって喋ってしまう。文章も書いてしまう。まあ、しかし、リストランテに間違って入る不注意さは持ち合わせていないので安心してほしい。回らない寿司屋どころか、回る寿司屋にだって入れない。
勝ち組よ、リストランテのウェイターよ、安心しろ、そのうち、上級国民と下級国民では違う言葉をしゃべることになるだろう。上級国民の住む街と、下級国民を住む街は、大きく高い壁で隔てられることだろう。おまえは下々の民を見ることなく、話すこともなく、一生を終えられるだろう。だが、もし、下級国民を顧客として必要とするのであれば、それはおまえも下級ということだ。しょせんはその程度のことだ。それを自覚しないのは、控えめに言って間抜けだ。大間抜けだ。おれはこの国のゴミとして金持ちを呪い、間抜けは笑ってやる。それだけのことだ。
続編
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……日本人の尊厳は「アフォードできること」であるとはっきり自覚できたのは、この本のおかげ。