S-1より注目! 2023年M-1グランプリ感想

このあいだ、こんな記事を書いた。

goldhead.hatenablog.com

 

M-1より注目、などと煽ったものの、やはりおもしろいものが見たい。というわけで、もちろんM-1を見た。敗者復活戦から見た。

 

本戦は採点しながら見た。素人がなにを? ウエストランドの井口になにか言われそうだが、手元で採点しておいたほうがいい。これを学んだのは、かなり前の話になるが、亀田興毅の試合を見てからだ。ボクシングだ。「判定がおかしいのでは?」と思ったが、自分で採点していなかったので、なんとも言えなかったのだ。なんとも言えないのは、「自分の感想と違う!」というのよりも悔しい気持ちになる。だから、ボクシングでも素人目で採点して、M-1でも採点する。自分の記憶や印象というのは当てにならない。

コンビ名、ネタ名(おれが決めた)、得点、一言メモ

 

令和ロマンがトップバッター。少女漫画のパン衝突シチュエーションネタ。たいへん面白かった。え、おもしろい。最初から面白くていいのか? と、思った。それでも94点にしてみた。ただ、一つだけ思ったのは、「日体大の集団行動」とか「新しい学校のリーダーズ」とか、おれはかろうじてわかったからいいが、知らない人には刺さらないだろうな、と。少女漫画のパン衝突はだいたいみんなわかるという前提だろうが、そのあたりどうなんだろうね。でも、万人に刺さるのはむずかしいし、それでは薄くなってしまうのかもしれない。

 

シシガシラ。敗者復活戦の歌ネタではなくハゲネタ。いまいち乗り切れていない感じだった。終了後のトークで「ハゲネタしかない」と言っていたのはよかった。実際は違うらしいが。

 

三番手はさや香。前年実績から期待度は高かったが、それに応えた。ネタはホームステイ。どんどん盛り上がっていって、最後に大展開もあって、とても笑えた。これは令和ロマンより上だと思った。

 

カベポスター。学校のおまじないネタ。なんか普通の話といってはなんだけれど、普通の感じだった。最後のドロドロロロは笑えた。

 

マユリカ。倦怠期夫婦ネタ。出てきて阪本がどうするのかと思ったら、そこでつかむところはなかった。けど、その後はどんどんおもしろくなっていって、爆発した感じもある。終了後トークも盛り上がった。審査員によると古い感じのコンビ、あるいは小汚い方の芸人らしい。

 

ヤーレンズ。とにかく手数が多かった。喋って喋って、ボケてボケる。ただ、これは好き嫌いなんだろうけど、ボケのおばさんの感じがいまいちハマらなかった。

 

真空ジェシカ。独特の世界。ただ、最初の令和ロマンの感想に書いたけど、おれは金曜ロードショーの部分がわからなかった。それでマイナス点にすべきなのかどうかわからんが、まあその部分は笑えなかったというのはある。トーク部分は好き。

 

ダンビラムーチョ。カラオケ歌ネタ。曲はみんな知っていたけど、なんか笑える感じではなかった。最初の天体観測が長いというのは審査員コメントに同感した。ただ、準決勝までは長いのでドッカンドッカンうけていたという。準決勝までと決勝では国が違うらしい。岡本のユニフォームのくだりは必要だったのか。

 

くらげ。名前を忘れたネタ。これはやはりどうしてもミルクボーイを思い浮かべてしまう。いっさい噛まなかったのはすごかったけど、大笑いできる感じではなかった。

 

最後にモグライダー。もうキャラも知れているコンビ。ネタはスター錦野。この曲のチョイスはどうなのかよくわからない。ただ、元ネタを知らなくても笑えるような丁寧な展開。とはいえ、なんかちょっと弾ける感じもしなかった。繰り返しが少し単調に思えた。松本人志の「ジョンソン終わるの?」と、ともしげの「カンチョウしました」は笑えた。

 

というわけで、おれのなかで一本目は一位さや香、二位令和ロマン、三位はマユリカか真空ジェシカ、ということになったが、勝ち残ったのはヤーレンズ。

 

で、決勝。また一本目に令和ロマン。つかみからおもしろい。コント漫才で、ちゃんとボケがキャラの演じ分けをしていてすごい(べつにエンジンコータローと比べるわけではないが)。一本目のさや香と同じくらい面白いと思った。

 

ヤーレンズはラーメン屋ネタ。またとにかくボケまくる。手数が多い。今度はキャラの好き嫌いはなかった。でも、若干、おれはウザさを感じてしまった。おもしろかったけど、令和ロマンのほうがよかったか。

 

そして、さや香。見せ算? なんか極端なネタに振ってきたな、という感じ。一本目に比べると、明らかにお客さんの笑いも少なかったし、おれも「あれ?」という感じだった。ファイナルの三組では明らかに分が悪いように見えた。あとから反省会など見ると、このネタを最後にやるためにやってきたらしい。やるらしいという噂は令和ロマンも知っていた。すごい勝負をかけてきたな、と思った。

 

というわけで、優勝は令和ロマンで、自分の感想とも一致してめでたしめでたし。というか、S-1のことを勝手に書いて、お笑い芸人をばかにするようなこと書いて、じゃあおまえはなにがおもしろいんだ? ということを書かないのはいかんと思うた。

 

しかしなんだ、優勝した令和ロマンは実にクールだった。記者会見もクールすぎた。これが慶應ボーイというものか、という感じ。あ、おれも慶応なんで。中退だけど。でも、コロナ禍があって辞めていった同期も多かったとかいうあたりは本音だろうな。しかし、それにしても落ち着きすぎじゃなかろうか。すごいもんだ。トップバッターになったときも、大会を盛り上げようとしたとか、ファイナルの順番も自分たちが盛り上げるという相談をしていたとか、なんか違うよな。令和の芸人なんかな。いや、そういうもんではなく、令和ロマンの個性なんだろうな。すごいな。おもしろかったな。じゃあ、千鳥のストロングゼロの打ち上げ見てから寝るわ。そんじゃ。