このごろ読んだ本をメモしておく。かつては一冊読んでは、一冊の感想など書いていたものだが、めんどうくさくなって書かなくなってしまった。でも、せっかく読んだのだからちょっとは書いておこうかと思って、こんなんメモする。
わりとギリシャ、ローマ時代の内容が多め。ルビが丁寧で「馬名にしてえな」とか思うこと多し。著者は功利主義に反対の立場でけっこうディスっている。
……はるかによい表現は、「一見自明な原則」である。このような原則は、「一見自明な義務」(Ross,1930:19)を表現するものであり、形式的に言えば単に全称形の指令なのだが、われわれの受けたしつけによって、非常にしっかりとした根ぶかい傾向性や感情と結びついている。これらの原則と感情を無理に分離しようとする試みは、われわれの直観的思考に関する事実を曲げることになるであろう。それらの原則を持つというのは、「持つ」という言葉の普通の意味では、それらの感情を感じる傾向性を持つことなのである。もっとも、一部の直観主義者がわれわれに信じ込ませようとすることとは違って、それらの原則を持つことと、適当で安全な場合にはそれらの原則を批判的思考の検討に委ねることとは両立しうる。
おれは「一見自明な原則」の一見だけでものごとが判断されるのはたいへんおもしろくないと考える立場なので、ヘアの言う批判的思考との両立はたいへんおもしろいと思う。
われわれ人間はそれほどの感受性や共感に恵まれていないので、たいていは直観的思考で間に合わせなければならない。しかし、直観の妥当性を確認する批判的思考をするつもりがあるなら、われわれもやってみなければならない。
「われわれ人間」と対比して仮定されるのは「大天使」である。われわれは「大天使」ではない。だいたいの場合は直観的思考で間に合うかもしれない。でも、それは「一見自明な原則」なんじゃないですか。そこで、「批判的思考」が必要となる。
……てな具合に、ヘアの思想は二段階的な、そんなふうに語られる。本書を読むと、要点はそこかもと思う。でも、本書には、旧来からの功利主義批判への反論や、メタ倫理学的な記述も多く、わりとむずかしい。むずかしいけれど、ためになる。
反出生主義者のおれとしては、ハンス・ヨナスが気になる。なので、読んでみたが、どうももう、「人類の存続を考えないものは論外」みたいな調子で、そんなのすっとばされているという感じだった。ケアの倫理については、これ、フェミニズムからはどういう受け止められ方するんだろうと思ったが、そのあたりについても記述があった。
功利主義者である児玉聡先生による「マンガで学ぶ」本。このマンガがなんというか、非常にハーコーであって、甘くない。このハードさはぜひ読んでもらいたい。内容としては、応用倫理学……とまではいかないかもしれないが、現代の諸問題について説かれていてわかりやすい。
おれは最近「不安」なので読んでみた。脳科学についてはサイトカイン炎症などについて学ぶところがあった。ただ、東日本大震災と原発への不安への話題が多かった。あと、人文学のほうについては夏目漱石中心という感じ。
人間弱るとマルクス・アウレリウスとか読むんよ。
まあ、そんなところ。