おれは中学生のころから、朝シャワー派である。大学を中退してひきこもりをしていたころは自分で風呂掃除をして一番風呂に浴する趣味もあったが、日々の労働を余儀なくされ、一人暮らしを始めてからはやはり朝シャワーである。むろん、ユニットバスという貧相な浴室環境というものがあるものの、夜の湯船より朝のシャワーを取りたい。
朝のシャワーのなにがいいのか。まず第一に目が覚める、第二に寝ぐせを気にする必要がない、第三に洗顔と髭剃りが一度にできる……などと言いたいところだが、本当の本当のところは違う。清潔度のような尺度があるとすれば、それが最高のときに外出したいのである。すれ違うにせよなんにせよ他人と接する外界に出るにあたって、一番清潔でありたい、そう思う。
そう思うのは強迫観念に近いようにも思える。一度は強迫性障害と診断されたことがあるおれが言うのだから間違いない。とはいえ、四六時中手を洗っていないと落ち着かないという話でもない。夜風呂に入る、あるいはシャワーを浴びるか、朝そうするかの違いでしかない。嗜好の違いだろう。だったらおれは後者を取る。ちょっとどこか、そう、コンビニに東スポを買いに行くにしたって、できれば清潔でありたい、そう思う(やっぱりちょっと強迫観念あるかな?)。
その分、寝床が清潔でない? そんなことはどうでもよろしい。寝床はおれ一人のこと。外界は皆のことである。一人は皆のために、を重視しようではないか。なに、おれの寝床に誰かが入ってくる? そういうことはないようにしている。
というわけで、以上がアラフォー男の、だれも知りたくはないであろう清潔観念のお話である。もしおれが何かの間違い(宝くじが当たるなど)でユニットバス以外の大きな浴槽がある住まいに住まうことがあれば話は違うかもしれない。夜浴槽、朝シャワーという線もある。まあ、妄想に過ぎない。それが妄想に過ぎないうちは、できるだけ朝シャワーといきたい。それだけのことである。