北海道大地震の日に

おれは朝、携帯のアラームで目が覚めた。しかし、身体が言うことをきかない。深酒のせいかどうかわからない。おれはともかく朝に弱い。弱いというか、動けない日がある。たしか今日の午前は会社に人がいるはずだ。「2時間遅れます」とLINEに書き込み、また眠りについた。

今度は電話の呼び出し音で目が覚めた。10時半くらいだったか。おれにしかわからぬ、あるクライアントのある仕組みについて問題が起きたので対応せよという。自宅のPCからも作業できるので、会社でおれのiMacを立ち上げてもらい、必要な情報をメールで送ってもらう。クライアントに電話して話を聞く。もとより頭がぼーっとしているので、いまいちピンとこないが、ぼーっとしているのでなんとなくわかったふりをして電話を切る。われながらひどい声、そして話し方。

ひとつには文字の修正で、これはすぐに直す。しかし、もう一つの件がよくわからない。よくわからないが、問題なさそうなので、そのむねを電話する。担当者が席を外しているというので、伝言を頼むが、しどろもどろになる。

シャワーを浴びる。電話が鳴っている。担当者から会社に電話があったらしい。後から聞くに、おれは午後から会社にいることになっていると伝え、緊急ではないと言っていたのに、おれが対応してしまったがためにこうなった。そして、もう一つの件が直っていないという。が、しかし、会社の人からの伝言で理解できた。Contact Form 7で[radio]が自動的に入力必須項目になることによって、選択肢に齟齬が生じたのだ。問題の箇所を[checkbox]にして複製した固定ページから確認を行う。

チェックボックス、ラジオボタン、メニュー | Contact Form 7 [日本語]

radio はラジオボタン (HTML における <input type="radio">) のグループを表現します。入力必須版の radio (“radio*”) はありません。Contact Form 7 が “radio*” を提供しない理由は、そもそもラジオボタンとは入力必須のものだからです。このあたりのことについては HTML の仕様を見た方が早いでしょう。

いま、この解説を見たが、なんか小馬鹿にされているようだ。よくわからないが、技術者の世界というのはそういうものなのだろう。ひとえに知識あるものが善なのである。

12時半頃、出社。先方にメールで問題の原因と対処を送る。100円ローソンで買ったおにぎりを食べる。13時頃、はてなブックマークを見る。なにか北海道で地震があったらしいことを知る。「なんか北海道で地震あったんすか?」と職場の人に言うと、呆れられたように「大変なんだから」と言われる。

たしかに、大変なようだ。北海道全域が停電しているという。全系崩壊、ブラックアウト。全295万戸。少ないのか多いのか数の想像がつかない。おれは北海道生まれだが、北海道の大きさもピンとこない。停止中の原発も非常用電源に切り替わっているとかいう。たしかに、大変なようだ。

anond.hatelabo.jp

こんな増田も投稿されていた。費用対効果というものもあろうが、分散化、ネットワーク化という方向は正しいのだろうかと思う。ロバスト最適化。レジリエンスの強い社会。もっとも、そのためにはやはり限界集落を維持させつつ、最期まで看取る、というわけにはいかないであろう。選択と集中、コンパクト・シティ。

logmi.jp

それはともかく、北海道はどうなっているのだろう。こんな増田も見かけた。

anond.hatelabo.jp

何を積んだのか、などというのは無粋だろうが、将棋を知らない人には「詰んだ」感というものがないのかもしれない。それはどうでもいい。とはいえ、増田に書かれたことなので真偽はわからぬ。わからぬが、なるほど完全電子マネー派の人がいるとすれば大変であろう。

おれももう日常の支払いはほとんどクレジットカードとSuicaにしている。とはいえ、おれは極度の心配性であって、割と多めの現金を財布に入れて持ち歩いている。そして、「何日経ってもお財布のお金が減らない!」という錯誤を楽しんでいる。

というのはどうでもよくて、災害への備え、というものだ。現金、というのも備えの一つだろう。だが、現金があったところで物資がなければ意味がない。そこで、備蓄の水だの、食糧だのといったことになるだろう。

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水は飲むばかりではなく、いろいろと重要だろう。……と、頭ではわかっている。わかっちゃいるけど、なにかこう、家族もいない、独り身の貧乏人が、災害に備えて備蓄食品や備蓄水を貯めることに対する、妙な恥ずかしさがある。「おまえはおまえの人生がそんなに大事なものだと思っているのか」というあざ笑いが聞こえてくるような気になる。災害が起こったら、真っ先に死ぬべきなのだろうと思う。とはいえ、簡単に死ぬかどうかはわからない。なんの備えもなく、ただ生き残ってしまい、まわりに迷惑をかける可能性もある。

などと、大災害のあとはいつも考え、そして買わない。わかっちゃいるけど、生きるに値しない人生にとって、なにか備えることなどばかばかしいという気になってしまうのだ。いざとなったら、死を怖れるであろうに。死ぬ心構えはできている、ただし、死に直面するその時以外は。いや、それ以前に、生きる苦しみに、汚辱に耐えなければならない、その可能性が高いのだ。

話は今回の地震に戻る。

www.asahi.com

気象庁は6日、北海道で最大震度7を観測した地震を、「平成30年北海道胆振東部地震」と名付け、発表した。

震度7。おれは東日本大震災のさいに震度4強で震え上がった人間である。想像がつかない。

そして、おれは会社のパソコンでちらちらニュースを追っていただけだったので「胆振」が読めなかった。北海道の地名だ、「たんしん」ということはあるまい。調べてみれば、「いぶり」と読むらしい。

適当な時間に帰宅。道中、歩道を埋め尽くす喪服、喪服……。なにかのライブの物販列のように、ぐるりと街区を回り込んでいる。

【訃報】元横浜市議会議長・伊波洋之助氏が死去 - 産経ニュース

どうも、このお通夜の列だったようだ。横浜市クラスの元市議会議長クラスのお通夜となると、これほどまでに人が集まるのか、と思う。これが地方議会に、その地方に根を張る政治というものかと思う。すこし離れたコインパーキングからも次々に喪服の人たちが現れる。

帰宅して、懲りずにビールを一本飲む。お好み焼きを焼いて食う。涼しいのでエアコンをつけず、窓を開ければいいだろうと窓を開けてみると雨がふっていた。慌てておれは自転車を部屋に入れた。そしてこれを書いている。このところ横浜には台風も来なければ、地震も起こっていない。少なくとも、今、この瞬間までは。