アポロブックスに寄った

 昨夜は久々に歩いて帰宅した。そして、久々にアポロブックス(http://www.unicom-gr.co.jp/apollo/html/index2.html)へ寄った。サイトを見ると分かるけれど、何やらサブカル臭というのか、そういう感じでどうにも苦手ではあるけれど、ここら辺は他に古本屋が少ないから文句は言えない。それに、オモチャは興味ないけれど、雑誌や本などかなり雑多でそれはそれで面白い。希望を言うなら海外文学棚を二倍くらいにしてほしい。
 久々だったので、端の棚から順に目を走らせる。なかなか手に取ろうという本は少ない。結局、一番の目的であるところの棚を手ぶらで通り過ぎてしまった。しかし、古本屋に行って何も買わないというのは抵抗がある。そんなでいろいろ見て回っていたら、店内の端っこの方の幻想文学棚で稲垣足穂の『天体嗜好症』を発見。河出文庫のものだが、装幀など最近のとは違う。ひょっとしたら持っているけれど、装幀が違うから買う価値ありと手に取った。こういう病状が悪化すると稀覯書の世界に行ってしまうのだろう。幸いにも俺には「貧乏」という強力な抗体があって大丈夫だけれど。この本だって五百二十五円。さらにもうちょっと見ていると、近藤唯之の『こうすれば人は動く―プロ野球名監督の用兵術』を発見。こちらは三百円。近藤唯之の本などは、おそらくこれからも安くなる一方だろう。実にありがたくもあり、惜しい話だ。
 帰り道、稲垣足穂近藤唯之の共通点などについて考えてみた。……一人の強打者が‘月に向かって打て’と素振りをしていると、お月さまがするすると降りてきて「君は失礼な人だな」と言うと、ぽんっと音を立てて銀紙の紙吹雪になってしまった。日本プロ野球史上、お月さまに文句を言われたのはこの時の大杉勝男ただ一人である。
 ……考えてみたところでどうしようもないと思った。