絶対振動剃刀

http://www.schick-jp.com/mens/products/energy.html
 こないだダイエーの一階で、僕は剃刀の替え刃を買おうと思って、それで、ダイエーの一階に行った。ダイエーというか、野毛のトポスなのだけれど。すると、ミルコ・クロコップ的なコーナーがあって、電気で振動する剃刀の新発売のコーナーなのだった。
 僕はひげを剃りはじめて以来このかた、ずっと剃刀を使ってきた。あの、電動シェーバーというやつには縁がなかった。昔も、そして、今も、僕のひげはけっこう薄い方で、あのジョリジョリ剃る感じにはそぐわないのだ。
 とはいえ、一度くらいは電動シェーバーを買ってみたいな、というような誘惑もあったりするのだけれど、あれを買うにはお金が必要で、そういう余裕はないのであった。しかし、振動する剃刀の値段は、そうでもないようで、しかも、なんといっても、歯ブラシが振動するのはわかるけど、剃刀が振動する意味がわからないので、それは気になっていたところだった。
 だいたい、替え刃商売、なんて言葉もあるように、替え刃を買うくらいなら、新しい本体を買える。買えるけれど、一回一回本体を買い直していては、付属の替え刃一個しかないし、それはそれでそんなような気もする。今使ってるSchick Quatro 4は、一回替え刃を買ったところで、買い換えかどうかのタイミングなのであった。
 それで、電池の入った、サンプルがおかれていて、それを手にとって見たりしていた。きっと、その僕の姿は、ジャングルで草をはむ子鹿かなにかみたいで、ジャングルに鹿がいるのかどうか知らないけど、きっとそう見えたんだろう、Schickの営業マンには。「ちょっと洗脳させていただいていいですか!」て。
 僕は半分以上買う気だったけれど、営業マンの営業トーク聞いてみたくなって、何か通信販売番組のアシスタントみたいに質問した。「ふるえてたら剃りにくくないんですか?」「電池は……?」「替え刃は……?」。それに的確に答える営業マン氏。ギャラリーがいないのが惜しいくらいだ。
 ついには「私、東京と神奈川の店舖をまわっていますが、ダイエーさんのこのセットのお値段は……」とお値段トーク。見れば、細いシェービング・クリームがついていて、千円を切っていて、なにかお得な感じもしたりして、「それじゃあ、洗脳されたんで一つ買います」と僕。「本当ですか! ありがとうございます」とすぐに頭を下げる営業マン氏。プロやねえ。ついでに「いや、僕ずっとSchickなんですよ」とくすぐる一言。すると、シェービング・クリームを取り出して、バーコードのところに「試供品シール」をぺたり、ぺたりとそれを二缶。普通は一人一缶じゃないかと思って得した気分になってみたりして、ますますSchick党としての気持ちも新たになったりならなかったり、まあ、僕も乗せられやすいわけで。
 で、振動剃刀。やはり俺はひげが薄いし、だいたい刃が新しいのだから切れ味がいい。しかしなんだろう、この不思議な感じ。ブーンって振動が手に心地いい。なにか、新しい朝の楽しみという感じだったわけで、しかし、こういうのは元旦などにスタートさせるのがよかったのかと思ってみたりもするのであった。