東京大賞典まで

 実に久々の大井競馬場だ。立会川駅の雰囲気も随分変わった。まるで様変わりしている。あまりに変わっていておかしいとあたりを見回して気が付いたが、一つ手前の大森海岸で降りてしまったのだ。駅の降り間違えなんて、競馬に関わらずやった覚えがない。俺は愕然とした。たぶん、車内でえらい勢いで小さな子どもをしかってる母親がいて、それに気を取られていたのかもしれない。
 せっかくなので、北側の一部しか知らないしながわ区民公園を歩いてみることにした。しながわ水族館というのもあって、あれはそれなりに新しいものではなかったか。しかし、実際に行ってみると、公園はややくたびれた感じであって、水族館の方はよくわからなかった。そして、突っ切ってあの監視塔の見える競馬場に行きたいのに、ショートカットできる方向は完全に塞がれていた。薄々感じてはいたが、これが公園の防御策なのだろう。俺は結局立会川方向の出口までいったん歩いて、大回りするはめになった。しかし、設備などにくたびれはあっても、思ったより緑の量が豊富で心地いい散歩と言えた。
 そうだ、そんなに寒くなかったのだ。俺は背中とポケットに携帯カイロという防寒対策できたのだが、やりすぎだったかと思ったほどだった。しかし結局この季節、やりすぎてやりすぎることはないというところに最後は落ち着く。寒くて当然じゃないか。
 防寒対策といえば、俺はバッグにウイスキーを一本忍ばせてきた。前日スーパーで買ったものだ。角鶴12年。俺にウイスキーの本当の良し悪しなんてのはわからないが、好き嫌いはある。ニッカのウイスキーは好きだ。だから、一番安いブラックニッカでもよかったが、ウイスキーを買うのも久々で、なんとなく気張ってみたのだ。気張るほどの値段じゃあないけれど。で、買った夜に味見をしたが、久々だったものでもう、「ンマ〜イ」となってしまって、その夜も、競馬場でもけっこう飲んだ。しかし、あっという間に真っ赤になる俺も、寒い屋外ではそこまでいかないね。しかし、格別の味だった。たまらん。