『グラップラー刃牙Fighting』『グラップラー刃牙(外伝)』『バキ特別編SAGA』

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 古くなると安くなるというのはありがたい話だ。世の中の話題についていけないことに目さえつぶっていれば、勝手に安くなってくれる。というわけで、先日来読み漁っていた(id:goldhead:20060209#p1←全巻最初に『バキ』貸してくれた人に譲った。まあ、●●の△△にそのくらいするのは当然だろう)の『バキ』関連の本を買った。それも、「あと○○円で送料無料」の「○○円」を埋めるために使ったのだからありがたい。その足しにあまりならなかったくらい安かったのだからありがたい。そして、やはり文句なしに面白かったのだからありがたい。世の中はこんなに感謝に溢れていたのか。
 それに、男なら避けて通れないのは『バキ特別編SAGA』、通称セックス編。決して過小評価していたわけではないけれど、これほどのものか、という印象。それも、想像していた方とは別の意味で凄かった。もちろん、想像していた方の意味とは、見開き人体内部キスとかそのあたりのインパクト。が、そのアストロ的おかしさばかりでなく、セックスに対して直球でえぐってくる部分がある。ここらあたり、本当に個人的な肉体の記憶によるもので、人によって受け取り方は違うだろう。しかし、どこかしら同意をするところがある。それゆえに、逆におかしさを強調したくなるような、そんな感じを受けた。
 しかし、セックスは逆の格闘技か。なるほど、たしかに技の応酬といえばそんな感じか。それで、刃牙青年は相手の強烈な技をかわすわけだ。出したら負けだから。しかし、そんなことをしていては、「素人のセックスは楽でいいねぇ。負けそうになったらかわせばいいんだから」と言われるのではないか。む、誰が? マウントさんでもアントニオさんでもないな。相手の性技を全て受けきって、敗北寸前で逆転して勝つ。おお、AV男優だろか。そういえば、AVでは「いきそうだからちょっと駄目」は許されないように思われる。全て受けきる美学。なるほど、チョコボール向井がこの両方の世界を股にかけるのは、単にうわべのことではなかったのか!
 ……などと一人で勝手に合点してしまったが、もちろんプロレスを描ききった(とプロレスファンでない俺が言っていいわけがあるはずもないが)『外伝』もよかった。しかし、この漫画ほど卑怯さや卑劣さがかっこいい漫画もないな。この価値の転倒こそが大きな魅力の一つかなって気がするわけだ。幼年編のダイジェストである『Fighting』ではその辺少なかったけれど。
 というわけで、まあ、『バキ』関係はこんなところで満腹か、という感じ。『バキ』最新刊(アライ編)も読ませてもらったが、これもあまり期待できず、現行連載シリーズにしてもそんな印象。まあ、印象だけで判断するのはフェアでないので、周回遅れの数年後に取っておくとしよう。