どんぶりで指を切ったこと

 「薄い紙で指を切った」というのならばチャットモンチーの歌になる。しかし、「どんぶりのふちで指を切った」俺の赤い赤い血はどこに流れて行くのか。
 流れついて、日記にメモされることになった。さすがに物好きな俺でも、ふちが鋭利などんぶりなど買いはしない。あやまってコップが落下して、ふちが鋭利になっていたのだ。コップは粉砕。しかし、これが馬鹿にできないだけ血が出た。場所も悪く、左手親指の付け根。もしも俺がマスターグレードなプラモデルであったならば、「取れやすい可動部」とでも言うべき場所である。絆創膏を貼っても、すぐに絞れてしまい、あまり役に立たない。
 それもこれもすべて俺の流しにおける各食器の損耗率の高さがいけない。俺は自分の手荒れを嫌って、台所用ゴム手袋を着用するのだが、そのせいか滑って落としやすい。落としやすいので、大破しないかぎり戦列からは離脱させない。その結果、欠け食器とプラスチックとワンカップ酒上がりのコップばかりになってしまった。抜本的解決は思い当たらない。食器洗いを任せられる家政婦を雇う金はない。