それでも君はテレビを信じるのか

 俺でもなにかを信じたいって思うときがあって、それはたとえば土曜か日曜の朝の番組で田舍料理を紹介する照英がディレクターのオーケーが出たあとにもう一度「マジうまいっす」などと言ったりすれば、それはさぞかしおいしいのだろうと信じたいという具合なわけで、俺はニラと豆板醤とチーズを買った。
 ニラとチーズメーンのお好み焼きに、豆板醤とケチャップを混ぜたソースを塗って、ニラピザ風お好み焼きだとかなんとか。材料やレシピをメモしたわけではないのだ。ただ、ニラメーン、チーズそして豆板醤ケチャップ。これには自信があったのだ。それで、やってみて食ってみて、ニラとチーズのニックスは感じられたが、豆板醤とケチャップの方はどうだろう。お互い消しあって、あまり主張しない。ただ、お好みソースとマヨネーズの濃厚さとはひと味違ったさっぱりさもあって、それはそれでありという具合。
 そして俺は翌日の朝から腸より下(『蝶の舌』を『腸の下』だと勘違いしたことはありますか?)に異変。以前、輪切りの乾燥唐辛子を買って、分量も適当に放り込んで苦しんだときと一緒だ。
 苦しみながら一つの疑問が頭に浮かんだ。……「ニラ入りのお好み焼きって、朝鮮のなんとかいうやつに近い。でも、豆板醤は麻婆豆腐とか茄子とかだ。中華じゃないか。となると、豆板醤でなく、コチュジャンだったんじゃないのか? 俺がこうも苦しんでいるのは、豆板醤をよろしくない方法で摂取したからではないのか? そうだ、そうに違いない!」と。
 というわけで、土曜か日曜の朝の番組のサイトを探しだしてみた。
http://www.ktv.co.jp/verysat/recipe/index.html

中まで火が通ったところでケチャップと豆板醤で作ったソースを塗る。

 ……あれ、合ってんじゃん。俺の疑問と答えを返せ、俺のニューロンのいつわりの興奮を返せ!