『荒野のダッチワイフ』/監督:大和屋竺

荒野のダッチワイフ [DVD]
 これには凄い衝撃を受けたぜ。38口径のダムダム弾、ライオンだっていちころだぜ。タイトルから凄いが、オープニングも一気に持ってかれるぜ。山下洋輔だぜ。13発だ。
 最愛の女を殺して逃げた元の連れを執念深く追う殺し屋……。女をやくざにさらわれた不動産屋の依頼を受けてみれば、仇敵が一味に。……だが、この復讐譚は一筋縄ではいかない。
 円環の悪夢、『マルホランド・ドライブ』みてえだぜ。デヴィッド・リンチよりずっと先だぜ。『ブルー・ベルベット』どころじゃねえぜ。環となって、それとともに、鏡みてえだぜ。鏡だ。あんたたち似たり寄ったりの獣よ。名前のシュウとコウ、なにか意味があるかと思ったが、それぞれの役者の名前なんじゃねえかと思ったぜ、ショウ=港雄一×コウ=山本昌平。バー襲撃のシーンで、ショウがナイフを使っていたぜ。おひけえなすって。どこまで行っても抜け出せない荒野、そしてダッチワイフ。ハードボイルドなんてもんじゃねえぜ。
 麿赤児がどこに出ていたのかと思ったら、あの現代的にかっこいいスキンヘッドのヤクザだったぜ。しかし、麿の存在もかすむほど、主人公はじめ、役者達の存在感にメロメロだぜ。あのストップモーションマトリックスのビュレット・タイムなんて形無しだぜ。どのシーンを切り取っても絵になってる感じがあるぜ。
 つーわけで、これにはやられたなあ。監督の大和屋竺は、映画『ドグラ・マグラ』の脚本などもやっていたのか。納得だ。あと、アニメのルパン。ルパンがたまに見せるハードっぷりにも一役買っていたんだろうかなあ。いやあ、いいものを見つけたもんだわ。